台風18号は京都の嵐山、伏見、福知山等で深刻な被害をもたらしましたが、ここ、山科でもなかなかに大きな爪痕を残しています。
幸い、当店には直接の被害はなかったのですが、近隣にも冠水、浸水の被害があり、京阪電車の京津線は大谷から上栄町までの線路が土砂に埋まり未だ復旧せず。山科から大文字へ登る道や、音羽山への登山道など、山はところどころで土砂崩れや土石流などで地形の変化も見られます。痛ましいです。人的被害等はなかったようですが、いや、ホントに自然の力はすさまじい。被災された方には心よりお見舞い申し上げます。
台風一過でようやく秋も深まりました。
(写真は本文とは無関係です。)
さて、この時期、蕎麦屋には「悪魔」ではなく「新そばの季節」が来たりて蕎麦好きのココロをくすぐるのであります。
しかし、そも「新そば」とは何か?
まあ、お蕎麦好きの方には今更ですが、要はこのシーズンに収穫されたソバですね。2013年の秋に採れたソバであります。
新そば、何が珍重されるかというと、やはり新鮮なだけに香りがよい、味がよい、甘皮の薄緑色が麺を彩り目にも鮮やか、てえな事ですよね。
江戸の昔から蕎麦は食べられておりましたが、秋に採れたソバはもちろん美味しい。しかし、月日の経過と共に蕎麦の実は酸化し、ひねてきて、味も香りも徐々に減じてくる、乾燥も進むので麺としてつながりにくくもなる、いきおいどんどんまずくなって、秋の収穫期の直前、真夏の蕎麦は喰えたもんぢゃない、なんてことを昔の蕎麦好きは言ったそうな。
そんなことで、季節が逆のタスマニアで栽培したソバを真夏に新そばとして提供してるみたいなお蕎麦屋さんも東京の方ではあるそうで。(『美味しんぼ』にありましたね。)
とゆうことで、一年前のソバで打った蕎麦を食べてたのが、ようやく新鮮なソバ、新ソバで打ったみずみずしく美味しい蕎麦に出逢える、とゆうのがこの「新そば」を珍重する心理なわけであります。
そおゆうわけで、みなさま、いよいよ新ソバの季節、到来なのです!!!
って、まあ、しかし、水を差すようですけども、温度や湿度等の管理技術のなかった時代ならね、「新そば」有り難がるのはもっともな話なんですが。
例えば、玄ソバ(脱穀する前のソバ)を恒温庫で真空パックして保管しておくといつまでも新鮮な状態を維持できる。必要に応じて開封して製粉することで、年中、「新ソバ」を味わうことが可能。というのんが今の時代なんですよね。
で、最近読んでびっくりしたんですけど、ホントかどうか知りませんけど、真空パックして長期間おいた方が熟成が進み、美味しいソバになる、という話もあるんですと!(『蕎麦屋の常識・非常識』片山虎之介 朝日新書)
んで、何が言いたいかとゆうとですね、
新ソバだから極端に味が良くなる、ということを期待するのはきょうびは違うのではないか、と。
新ソバまではとてつもなくひどい蕎麦を出してます、なんて商売はどこの手打ち蕎麦屋もしてないよな~、と。
では、新ソバの季節に何を求めるか?というと、月並みなようですが、それはやっぱり「季節感」ではなかろうか、と思うのです。
また、生産者の方の努力を讃え、収穫を喜ぶ気持ちかもしれませんよね。
あるいは、色んな事、さまざまなまがまがしい事もあったけど、一年生き延びてまた今年の蕎麦に出逢える喜び、「命なりけり」みたいな感慨かもしれない。
といった、形而上的な喜びが今の時代の「新ソバの季節」のメインなのではないか、と思うのであります。
まあ、そおゆう思い入れがあるから、ひとしお美味しく感じられるということは確かにあると思います。
いや、ま、結局、新ソバ美味しいよ、って話なんですけどね。(^^)
まずは北海道のワセそばが入ってきます。
当店、十割そばは27日金曜日から新ソバになります。
どぞ、お楽しみに
んじゃまた
亭主敬白