2010年12月29日水曜日

年末!

9月に開業して早4ヶ月。
そしていよいよ年越しそば。

いやあ、どんな感じになるのか、いっこうに予測できません。
蕎麦もどれだけ出るのか? 従ってどれほど用意する必要があるのか? 皆目見当つかず。
知り合いのお蕎麦やさんの人に聞くと、そらもうお客さんおしかけて大変だ、という話なんですが、京都の繁華街の老舗蕎麦屋の状況と山科みたいな辺境の新米蕎麦屋とが同列に論じられるはずもないので、結局よくわからないのであります。
さて、どうしょうかな。

ま、今回は様子見で大晦日26時までの営業をするわけですが、せっかく来てもらって「年越し蕎麦ありません」ではゲンも悪かろうと思うので、体力の限界まで蕎麦打ちせんなんだろうと腹をくくっているのであります。大量に売れ残ってロスになったとしても初めての年越し蕎麦やし、しゃあないわ、授業料払ったと思っとこ、と。

たくさん来てくださいますように。

んじゃまた
亭主敬白


2010年12月22日水曜日

改良型サク

ザクとは違うのです、ザクとは。

なんせ天ぷらの話ですから。
「ザクッ」ではなく「さくッ」が正しい擬態語というべきでありましょう。

んで現在、天ぷらを鋭意研究中なのであります。
フライヤのおかげでもって、今までもなんとかサクッという食感の天ぷらになっていたとは思うのですが、いろいろ思うところあって、もっとええもんにしたいなあ、と。

ありがたいことに縁あって、「天ぷら教えたるでえ」という師匠にめぐり逢えたのでありますね。私が個人的に神と崇める人物なのであります。
定休日に、不定期ですが師匠のとこまで通っての天ぷら修行。
もうね、これが同じ天ぷらというカテゴリーに分類されるのかと思う程に次元が違うのでありますよ。美しい。うまい。「シャア専用サク」とでも形容できるかなあ。意味不明ですけどね、まあ、そんだけ感動してるのであります。
さすがに、原理を理解さえすればできるようなもんではなくて、安定的に実践できるためには反復練習が必要なのですね。来年の春までにはメドがつくかなあ。

てえなわけで改良型の開発中なのであります。
ちなみに極意は、一年戦争の最中、ギレン総帥が喝破したとおりです。
あえて言おう、(天)カスであると。」

ヤマトの実写版封切ってる時にガンダムネタってのは場違いかもしれませんが。

んじゃまた
亭主敬白



2010年12月15日水曜日

年末年始の営業のご案内

年末は12/31 26時(1/1 午前2時)まで営業いたします。
12/30までは通常営業
12/31は 
昼11:30~14:30
夜は18:00~26:00 
※ お持ち帰りそばの取扱はございません。


年始は 1/5(水)より営業いたします。

皆様、よいお年をお迎えください。

亭主敬白


 

2010年12月8日水曜日

はなぢが止まらない

いえ、私のことではありません。
イラクの子ども達の中には、イラク戦争時の劣化ウラン弾の影響なのか、鼻血が止まらないという症状を示す子が多いようで。血友病って言うんですか?

日本イラク医療支援ネットワークが、鼻血が止まらない経験をしたイラクの子ども達の描いた絵を使った装幀のチョコレートを販売して支援資金を集めているそうな。知り合いから頼まれて当店でも売っています。丸い缶入りのチョコレート4缶入りで2000円。

鼻血が止まらない子ども達って、なんだかすごく痛ましいじゃないですか。

別に当店でチョコレート買わんでもええですが、どっかで一肌脱いであげて下さいな。
ホンマによろしくお願いいたします。

んじゃまた
亭主敬白

2010年12月4日土曜日

店内誌

『料理がくるまでのひまつぶしのタネ』というタイトルの冊子を店内に置いています。
文字通り、お料理ができあがって提供する間の時間をまぎらしてもらうための冊子です。
コンテンツは2つ。
1,蕎やんと岳さんのきょうがく的な対話
2,山科里見発見伝 -蕎岳的郷土観光の試み-

今回は山科里見発見伝のご紹介。
以下がサンプルの画像です。クリックするとなんとか読めると思います。


現在第2号までを印刷して綴じ込んであります。いずれもA4両面刷り。全国的にはめっさマイナーな京都市山科区の過去をほじくり出して新たな視点で観光したろ、という趣旨の内容です。
お好きな方なら楽しめると思いますが、当店店内にしか置いてありません。
ご興味のある方はぜひ御来店の上でお読み下さい。
今なら御来店いただくともれなく、亭主が心を込めて作った手打ち蕎麦を提供させていただいております。もちろん有料ですが。

んじゃまた
亭主敬白



2010年12月2日木曜日

かやくごはんのセットメニュー

ごはんもんはないの?
というお客さんが結構おられるのでご要望にお応えして、かやくごはん始めました。

サービスランチ 900円
・手打ち蕎麦(二八せいろ または かけそば)
・蕎麦屋のかやくごはん
・おばんざい
・香の物

サービスセット
お好きなお蕎麦にプラス100円

・蕎麦屋のかやくごはん
・おばんざい
・香の物


おばんざい、今週は「お豆さんの炊いたん」と「蕎岳特製だしまき」です。

2010年10月27日水曜日

蕎麦神降臨

本当に美味しい蕎麦に巡り会ってしまう、というのは時として不幸なことであります。ましてその店が自宅から遠いときにはなおさら。
どこやらへの旅行の帰り、蕎麦でも喰うか、とガイドブックをみたらたまたま通り道だったので入った店でありました。普通の食堂っぽいとこでしたが自家製粉、手打ち、十割の蕎麦屋さん。ざるそば頼んで待つことしばし。
見た目も鮮やか、仄かな翡翠色輝く細い蕎麦。しゃきっとコシがあり蕎麦が香りしみじみと甘い。鰹が効いたダシと相俟ってそれはもう至福のひとときだったのでした。
それ以後、どこの蕎麦を食ってもおいしくない。いや、まずいわけではないのですが、そのお店程の感動がない。鮮烈さがない。で、ものたりない。
で、しょうことなしに車を駆ってそのお店に行かざるをえないのです。この味を知ってしまった不幸を嘆きつつ一枚のざるそばの至福に酔うために。遠いなあ、もっと近くにあったらええのに、とぼやきながら。ちょっとした蕎麦ホリック状態であります。てかそのお店の蕎麦の中毒であります。

山科で蕎麦屋を始めるにあたっては、やはりその店の蕎麦が究極の目標で、半歩ずつでも近づいて行けたらなあ、という思いをもっているのです。まあ、できることしかできないわけでありますが。

さて、先日。はて、あのお客さんには見覚えが。一体誰だったか?あ、あの店の大将…!と気がついたらもうアドレナリン分泌しまくり。心悸が亢進して口喝感に襲われ、足まで震えてくる情けなさ。
同期で先に開業した人が、「同業者が来店すると緊張する」と言うてはったのですが、それどころの騒ぎじゃない。なんと言ってもね、ただの同業者ぢゃないんだよ。蕎麦の神様なんだぜ。正真正銘の。(個人の感想であり、普遍化を主張するものではありません。)

なんせミーハーなもんで、スタッフが注文取ったすぐその後で「○○(お店の名前)さんの…ですよね?」と挨拶させていただいて、「サインもらえませんか?」と言ってまったのです。さすがに断られてしまいましたが。

なにゆえ神様(個人の感想です)がこの辺境の地へ降臨されたのか?それはやはりこのブログのおかげなのかも知れませぬ。米欄で客を罵倒する八五郎坊主みたいなけったいな蕎麦屋に好奇心を持ってくださったのか。あら、めっさ恥ずかしい。

蕎麦はもちろんご満足いただける出来ではないのですが、もうね、あの方が来店して下さって、ワシの蕎麦を食べてくれはった、直接お話が出来た、アドバイスまで頂いた、あまつさえ、名刺までお渡ししてしもた!というだけで光栄なのです。
吉永小百合さんか田中麗奈さんが来店!というのに匹敵する程うれしい、つまり最高にうれしいことなのです。(個人の感想です)

うっしゃ!がんばろう。
と元気をいただいた感じです。

んじゃまた
亭主敬白


2010年10月13日水曜日

逆襲の…

開店一ヶ月を経過し、オペレーションにもそれなりの自信がつき、一方宣伝不足で来店数は限られておりだいぶ貧乏神に攻め込まれている状況なので、ここらで一発反転攻勢をかけるべき時期かと判断をしました。
具体的には新聞の折り込みチラシ。
地元のシェア一番の京都新聞へ、新十条通りから北の山科区北半エリア対象にのべ14,800枚。
印刷代、折り込み代合わせて8万円弱。

突然、「実は開店してました~」というチラシが入ってもなんだかなあ、ですので「開店1ヶ月謝恩祭」という形にしました。かなりこじつけっぽいですけどね。
謝恩祭だからなんか目に見えるメリットを提供する必要がある。景品付けるのは大変。であれば割引のお試し価格(10%引)で提供させて頂こう。
で、大枚かけて配布しても効果の程がわからないのでは、と思って、「チラシご持参の方に限り1割引」という形をとりました。会計伝票に「チ」の文字を入れておけばチラシを見てこられた方の数がわかり、14,800分(ぶん)の○○、と効果が具体的な数字で測定できるだろうと。

新聞販売店の方のお話では、3連休最終の11日が比較的チラシは少ないよ、とのこと。山のようなチラシに埋もれる可能性はまだ低かろう。と言うわけで11日から今月末までが蕎岳開店一ヶ月謝恩祭。11日の朝刊にドンと折り込まれたのでした。

ドキドキはらはらの月曜日、開店15分。お客様はゼロ。
だめじゃん。効果ないじゃん。
まだ15分しかたってないよ、店長。
といったやり取りをスタッフとしてるウチに以前からお世話になった方が御来店。そうこうしてるうちに始まったのでした、夢にまで見たひっきりなしの御来店状況。

翌火曜日は平日でしたがやはり同様にお客様の切れ目がない。で朝打った蕎麦が売り切れてしまって申し訳ないことに早めの閉店。すぐさま晩の分の蕎麦を追い打ちし、ネギやら天麩羅のネタやらの仕込みで休憩も取れず。

いやあ、効果あります新聞折り込み。結局殆どの方はチラシご持参でした。で、来店客数は一気に3倍化。って、基礎数がもともと低すぎたわけではありますが。

もちろんすべてのお客様にご満足いただけたわけではなく、中には厳しいご意見を下さる方もおられます。でもシレッと食べてネットでボロカス書かれるよりははるかに気持ちがいい。面と向かってご意見下さる、というのは自己顕示欲ではなく、当店への期待が動機なのでありましょうし。
で、おおかたのお客様はかなり高評価をしてくださっている。スタンプラリーとも相まってリピーターになって下さりそうな感触。この好景気を一過性にせず慢性化させねば、という切なる思いが通じるかもしれない。

そういうわけで今週は「逆襲のシュウ」なのであります。
ガンダムにひっかけようと思ったけどうまいこといかんかった。

んじゃまた
亭主敬白

2010年10月9日土曜日

皿の中のミクロコスモス

「見立て」とか「趣向」といった話です。
まあ、こういうのは好きな人は好きなのですね。知的な遊戯という側面が強い。世界史的にも希有な程平和な時代が長く続き、庶民文化が花開いた江戸期には殊の外好まれたらしい。
嫌いなお方はね、「こじつけ」とか「わざとらしい」とかでとことんお嫌いになるのですが、まあ人好きずきということで。

当店イチオシ「蓮如蕎麦」であります。山科新名物への道をまっしぐらに進むその途上にあるのです。前途遼遠ですが…。

京都東山に生まれ本願寺8世を継いだ蓮如上人は1471年越前国吉崎に吉崎御坊を建立、北陸布教の拠点とします。その後1483年には山科本願寺を完成させます。盛時は「寺中は広大無辺、荘厳ただ仏の国の如し」と言われた一大宗教都市を創り上げ、1499年に山科の地で入滅。
蓮如蕎麦はこうした上人の事績にちなんで作ったもの。

細打ちの麺はいかにもたおやかで京風を思わせるので、上人の出身である京都の象徴。
トッピングは上人の北陸布教の故事を踏まえ、また店主の越前蕎麦へのリスペクトを表して、越前そば風に大根おろし、青ネギ、花鰹。さらに揚げたそば米(蕎麦の実の殻をとり茹でたもの)を散らしています。

ネギは大地の恵み、青々とした福井平野の豊かな実りを象徴。
花鰹は逆巻く日本海の荒波。(鰹節は太平洋だろうが、というツッコミは無しでお願いします。)
真っ白な大根おろしは、北陸の雪。
かくて上人の生涯を彩る京都と越前が皿の上に現出せしめられる。
で、蕎麦の実は?
ちょっとね、仏様の螺髪(らほつ)に似ているのですね。従って蕎麦の実は仏様(真宗ですから阿弥陀様ですね)。
 では、かけつゆを何と見る。え~、かけつゆは~、と。黒いなあ。黒い。うん、整いました。つゆは墨染めの衣の象徴です。
京と越前の風物を阿弥陀様が穏やかに見守りそれら一切を墨染め衣の上人の生涯がひとつにまとめ上げる。
と、まあ、そうした御趣向です。

五木寛之さん、食べにきはらへんかなあ…
『風に吹かれて』は大好きな本のひとつだったのです。

んじゃまた
亭主敬白

2010年10月7日木曜日

「もてなす」くん

山科の商店会のゆるキャラ「もてなす」くん。
山科特産(だった)京野菜「山科なす」を山科の街づくりのシンボルにして各商店の軒先を飾っています。いっときはひんぱんに盗難事件が発生したほどの人気キャラなのです。

当店も微力ながら街づくり、街おこしの一助となりたく思って山科三条商店会の会長さんのお店(リカーショップ龍野さん)へ伺って、もてなすくんゲット。3個1000円の風船が高いか安いかわかりませんが、協賛金なら安いなあ、と思います。
さっそくのぼりにくくりつけました。
お客様を心からもてなす精神を表した「もてなす」くん。店も街も賑やかになることを祈ってくれているのです。

んじゃまた
亭主敬白


2010年10月6日水曜日

ネギ

横浜で、薬味のネギはこう切る、と教わったときは深く感嘆したものであります。
使うネギは白ネギ(白くて太いやつ)、これをまな板の上ではなく、左手に持ち中空で、右手の包丁でそぐように輪切りにしていく。まな板の上で切るよりも繊維(だったか細胞だったか)がつぶれないから臭みがすくなくなる、との説明。理論的説明もそうですが、手元でささささっと薄切りネギが生まれてくるビジュアルはなかなかにかっこいい。職人、という感じがしたものであります。

さて、いざ京都で蕎麦屋を開こうと思うと、いうまでもなく京都/関西では九条ネギ(青ネギ )が一般的。御存知ない方のために付言すると、博多のほう(だったかな?)が特産の万能ネギよりも太く、関東で一般的な白ネギよりは細く、青味の部分が多いネギ。
これは白ネギと違って軟弱なので手に持ってさささっと輪切りにするのは不可能、というか私には無理。知り合いのお蕎麦やさんにきいてもやはりまな板の上で数本束ねて輪切りにするらしい。
で、あれこれ考えましたがやはり地元に馴染みのある食材を使う方が違和感なく受け入れてもらえるか、と思い白ネギではなく青ネギを採用し、毎日せっせと切っているのです。

さて、しかし、ネギに注意をむけて京都の老舗蕎麦屋さんへいってみると、別に青ネギにこだわっている、というか、青ネギでなければならない、ということは全然ないのですね。
京都の老舗蕎麦屋さんの中には東京で蕎麦の修行を積まれた方も結構おられるように伺っています。で、普通に白ネギのお店もあり、青ネギのお店もあり…。あ、なんだ、どっちゃでもええのか。要はポリシーと自信を持って選択すればよいのだ、と今は思っております。
考えてみれば焼き物の京焼き(清水焼き)も、全国各地の色んな技法が集まって総体としての京焼きを形成している。いや、専門家ではないので間違いがあったらご指摘頂きたいですが。ただ、素人目にも、これが京焼き、という特徴はよくわからないのです。素人目だからかも知れませんが。で何が言いたいかというと、都である京都は各地の色んな文化のるつぼであり、排除の論理ではなくそれらを鷹揚に受入れ吸収して洗練させて、独特の物にしあげているということなんだろうと思います。要は何でもありの多様性が根底にあるんだろうと。で、ええとこどりをしているのだろうと。
で、その「ええとこ」として選んでいただけるよう、精進せねば、という話なのでありましょう。

さて、当店のネギですが、「白ネギ使ったら?」とおっしゃるお客様もおられたのです。(東京ご出身の方だそうです)。その時は、「いやあ、京都は九条ネギですから」とお答えはしたのですが。
それからいろいろ調べてみると、刺激臭は白ネギの方が青ネギよりも強いのだそうな。だからこそまな板を使わない技法が確立されたのかもしれません。
個人的には白ネギがしっとり小皿にのってた方が、なにやら艶っぽい感じがしてちょっとドキドキするのですがねえ。
ただ、当店では越前風のおろし蕎麦を「蓮如蕎麦」という名前で売り出し中。山科の新しい名物にしようと画策しているのです。で、これにはやはり青ネギたっぷりでないと、大根おろしの白と色がかぶってビジュアル的に面白くない。
だったら、白ネギと青ネギ、両方切って使い分けたらええやんけ。と簡単にいけるほどの包丁の腕はまだないのです。で、ウチのネギは当面九条ネギ。ご了承賜りますように。

んじゃまた
亭主敬白

2010年10月2日土曜日

人間失格

深刻な反省をしています。

あるかたが、揚げたそばと茹でたそばの違いがわからない、同じ物だ、とおっしゃった。で、ウチの蕎麦をお食べになり、その評をされた。
わたし、それに対して茹でたそばと揚げたそばの違いがわからない方の意見は参考にならない、聞くに値しない、と言ってしまったのです。

最低ですね

感覚障害がある人の意見は聞かない。障がいのある人は蕎麦の味に口を出すな、なんてね。
能力障害があることを理由にしてということだから絵に描いたような障がい者差別。
蕎麦は多様に色んな形で自由に味わうべきではないか、という自らの持論にも反している。正に整合性がない。

言われた相手の方は当店の早期の廃業を楽しみにしておられる。むべなるかな。自業自得です。
営業がどうとかいう以前に「人間としてどうよ」、という問題と認識しています。

今日で開店まる一ヶ月。
この反省を胸に心を入れ替え地道に商売していこうと思います。


亭主敬白

2010年9月29日水曜日

温かいそば 始めました

先週の金曜日、朝目覚めると肌寒かったのでした。あれほどの猛暑が一体どこへ行ったやら。それはともかく、突然の秋。
当店のスタメンは二八、生粉打ち、てんぷらせいろ、蓮如蕎麦(越前風おろしそば)と、基本的に冷たい麺ばかり。いや、別に「そばはざるに限る、温かいそばなんか邪道だ!」という原理主義的な観点からではなく、単純に温かいそば用のダシ(以下「かけ汁」と言います。)に自信が持てなかったから。
亭主はたまたまのご縁があって(ネットでの検索も「ご縁」には違いない)、横浜で蕎麦修行をさせてもらったのですが、ざるそば用のつゆ(以下「ざる汁」と言います。)はともかく、かけ汁はやはり東西で大きく違います。しょうゆの淡口、濃口の違いだけにとどまらず、ダシのとりかた・材料も違う。
あえて習い覚えた江戸風で勝負するのもひとつの方法ではありますが、亭主自身が食べて「美味しい」「ホッとする」「納得できる」という味では残念ながらなかった。どうしてもしょうゆが強くて。これはもう東西の食文化の違いなのでいかんともしがたい。ともあれ自分で「なんだかなあ、これでは京都人にはそっぽむかれるなあ」と思う味で勝負をかける勇気はさすがにないのであります。
で、納得できるかけ汁ができるまで温かいそばは封印をしていたのでした。9月中に研究して10月くらいから出そうかな、と。長期予報では10月、11月も暑いらしいし。そんなに急くこともないかいな、と。

と思ってたら突然の秋。涼しいのを通り越して寒いくらい。
あ、こら、予定前倒しで温かいのんを始めねば。と、ベンチ入りしてた天麩羅そば、にしんそば、かけそばの3選手に急遽出場してもらいました。
かねて研究中だったウルメ、メジカ、サバをつかった秘伝のダシに淡口醤油、砂糖、みりんを合わせたかけ汁。
気候の変化に慌てて対応してメニューに追加したので調理手順はまだもたつくのですが、味はなんとか及第点ではないか。客観的な評価としては、温そばを頼んだお客さんの丼、いずれも汁がほとんど残っていないのでご満足いただいているのだろうと思います。

白状いたしますが私、かつては「原理主義」の信奉者だったのであります。
そばを本当に味わうなら冷たいざるに限る。それ以外、天ざるも温そばも邪道だ、くらいにマジで考えてました。
しかしながら、そばと天麩羅はまさに「であいもん」というかベストマッチって感じですし、そばは温めると甘みが活性化するんでしょうね、もう、実に美味い。
たしかにいい粉を使って打った蕎麦はまず第一に冷たいざるで食べたい、食べて欲しい、とは思いますが、そういう美味しいそばは温そばにするとこれがまた絶品なのです。冷たいざるそばだけに固執していたらそばの真価はわからんなあ、というのが今の率直な思いです。
生物(せいぶつ)だけでなく、そばの味わい方も多様性が大切ではないか、と温かい天麩羅そばを食べながらしみじみ思うのであります。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月26日日曜日

そば茶 ー非日常へのカタパルト

ぼったくり、というようなとんでもなく高い価格設定をしているわけではありませんが、それでも手打ち蕎麦となるとやはりちょっと高級感ある値段にしないと商売が続けられません。
まあ「高いなあ」ではなく、「リーズナブルやん」と思ってもらえるべく努力をしているわけでありますが、それでも安からぬ金額ですから、お客様にはぜがひでも満足していただかなければ申し訳ない、という思いがあります。
満足できるかどうかについての指標は個々人で異なるものでしょうが、最大公約数的なものとして、ちょっとお高めの金額を要求される店であるなら、そこに「日常からのプチ離脱」体験という要素が求められるものと考えています。

千葉県浦安にある某巨大遊園地だかテーマパークだかはそのへんかなり計算して来場者を上手に「あの」世界へ連れて行ってくれる。日本の日常生活とは全然違った世界に一時遊ばせてくれる。
蕎麦屋も、それなりの値段とるのだったらそうした配慮は当然必要になるのではないか、と思うのです。
えと、つまり
「せっかく高い金払ったのに家で喰うのと変わらへんやんかいさ」ではあかんわけで。
たとえばテーブルの七味とうがらしが家と同じ○&Bとか○ウスのガラス瓶だったら、思いっきり日常ではないですか。
天麩羅のネタもサツマイモの輪切りでは、おいしくてもあまりにも日常くさい。(もちろんブランド芋なら別ですが)
天麩羅も天つゆよりは抹茶塩のほうが日常からの離脱度は高い感じしますよね。
わさびは… 結局静岡産の生わさび使ってます。

料理がおいしいということは大前提として、それにプラスして「非日常」感を醸すことに無神経ではあかんのちゃうかな、と。
それなりの値段とる蕎麦屋は「蕎麦のテーマパーク」という存在として期待されているのだと思うのですね。お客様を「めくるめく蕎麦ワールド」に誘い「日常からのプチ離脱」体験を提供する。お客様はひととき蕎麦ワールドにたゆたい、食欲を満たすだけではないプラスアルファの満足を得て日常生活に戻っていく。手打ち蕎麦屋というのはまさにそうした存在であることが予期されているのではないか?

前フリ長くて恐縮ですが、そば茶はお客様を「めくるめく蕎麦ワールド」にいざなう上での重要なアイテムだろうと考えているのです。
そば茶は蕎麦の実を焙煎したものを煮出したものですが、実に甘く香ばしいかおりがします。ソバの持つ栄養素もそのまま含んでいて健康によいそうな。
で大事なのは、ふつう、そば茶は家庭ではまず飲まないということ。よっぽどのそば茶ファンでもない限りそば茶を飲む機会というのは蕎麦屋以外ではない。ね、もう既にして非日常の飲み物なんですよね。
蕎麦屋ののれんをくぐり席に着く。運ばれてきたお茶が香ばしいそば茶。あ、珍しい、そうかココは蕎麦屋という異世界なんだなあ、ということを嗅覚で知らしめ、一気に蕎麦ワールドへ誘うのであります。
ウチはさらに「そばかりんと」(蕎麦を油で揚げたもの。塩味)をサービスでお出ししています。(料理をお出しするまでの時間稼ぎでもあります。)この「そばかりんと」も、まず蕎麦ワールドでしか出逢えないアイテム。そば茶で異世界へのトリップを始めたお客様の飛翔スピードをさらに加速させる、という仕掛けであります。
これすべて身銭を切ってウチのお蕎麦を食べに来て下さるお客様の満足度向上のため。蕎麦屋という異世界、蕎麦のテーマパークに心おきなく没入し、「日常からのプチ離脱」体験を全うしていただかんがための手続きなのですね。(多くのお蕎麦屋さんが同じ思いだとおもうのです。)
※ 追記 そば茶出さない蕎麦屋はペケ、なんてことを主張したいわけではありません。誤解のないように念のため追記しておきます。

と、まあ、あえてこんな手の内をさらけだすのは、そば茶を不当に貶める「妄論」がネット上に存在するから。
いわく

「個人的に最初の蕎麦茶は嫌いです。今から蕎麦を食べようとしているのに、蕎麦茶はチョット。
れは私見ですが、最初に蕎麦茶を出してもらうのは、どうも好きになれません。
これから蕎麦を戴こうと思っているのに、その前に蕎麦の香りの強いお茶はチョット辟易とします。」

 これを書いている方が、そば茶の味や香りが嫌いというなら個人の嗜好の話なので何も端から口を出す必要はないのです。しかし、この方が嫌いなのは特異な価値観かららしい。そして言外に、「そば茶を出す店は感覚が鈍く配慮が足りない」というメッセージを込めている。
店側のもてなしの気持ちを理解してもらえないのは残念というしかありませんが、そうジャイアニズミックに主張されると、そば茶の名誉のためにひとこと言っておきたいと思うのは、そば茶も含めた蕎麦ワールドを愛するものとしては当然のことではないでしょうか。(と、たいそうに言う程のことでもありませんが (^_^;) )

何が「妄論」かというと、
蕎麦特有の香りはごぞんじのように熱に弱い。ですからウチもそうですがほとんどの手打ち蕎麦屋は製粉過程で熱を持ちやすいロール挽きではなく、石臼挽きの粉を使用することにこだわっている。
そば茶は前述したように蕎麦の実を炒って、つまり炭化の寸前までとことん熱をくわえたものなんですよね。この状態で蕎麦特有の香りなど残りようがないのです。ご飯の香りと玄米茶の香りがまるきり違うように、そば切りの香りとそば茶の香りは全くの別物。
そば茶の香りは、蕎麦の主成分である澱粉やタンパク質を焦がしたにおいでしょう。そば切りとは全く違う香りをかいでこれから食べるそば切りへの興趣が薄れるとか、辟易するだとかいうのは理解に苦しむのです。常人の域を超えたよほど鋭敏な嗅覚を持った人なのか、あるいは何らかの観念的なドグマに嗅覚が囚われているのか。
いずれにしてもごく特殊な価値観に基づいて、公開の場で蕎麦茶を、蕎麦茶を出す蕎麦屋を、ひいては蕎麦茶を喜ぶお客様を論難するのはいかがなものか、と思った次第。


というわけで当店は今後も胸をはって蕎麦茶をお出しするのです。蕎麦アレルギーの方はご注意下さい。

ええ、私、竹を割ったというよりは、餅をついたような性格です。(^o^)

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月24日金曜日

京都最速?

新そばのお話。

薄いエメラルドグリーン。
甘い香り。
これを小麦粉と混ぜたり湯ごねにするのは何とももったいない気がして、水でうった十割蕎麦にして提供しています。

旬のはしり、という観念的なハロー効果を抜きにしてもやはりおいしいのです。甘いなあ。

ソバ粉は北海道雨竜町産の極早生。キタワセという品種です。不作が伝えられる今年の作柄の中でよくぞ、という思いです。

先日の定休日、河原町のあたりをうろうろしてお蕎麦やさんのハシゴをしたのですが、さすがに「新そば」という掲示はなかったので、もしかするとウチが京都最速の新そばかも。まあ、早ければいい、というわけではないのですが、初鰹を愛でる情調と共通してちょっとうれしいものがあるのです。

新そば生粉打ちせいろ 1000円。一日限定10枚。京都最速、かもしれない新蕎麦を味わえるチャンスです。なんちて。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月20日月曜日

新蕎麦!

明日入荷します。
商売始めて最初の新蕎麦。ちょとうれしい。

玄ソバの管理をしっかりしていれば新蕎麦をありがたがる必要はない、という意見のあることは承知していますがやはり季節を感じさせる旬のもの。自然の恵みを扱う商売としては季節の移ろいを体感できる「新蕎麦」は大切な区切りというかひとつのイベントとして大切に味わいたいと思うのです。

入荷の時間によって新そば粉を使ったそば切りを提供できる時間帯が決まります。朝の蕎麦打ち終了後の入荷だと新蕎麦のそば切り登場は夜の営業から。入荷が早い時間帯なら頑張って昼の営業に間に合うように打ちたいな、と。

猛暑、猛暑と言ってましたが、いつの間にか、着実に、季節は移り変わっていくのでありますねえ。

そうそう、昨年国内産ソバは大不作だったらしいですが、どうやら今年もあんまり出来は良くないとの話です。玄ソバ(粉にする前の殻つきのソバ)やそば粉もまた高くなるのかなあ。かといって蕎麦の販売価格に上乗せも難しいでしょうし。これも温暖化の影響だろうと思うと温室効果ガスの削減課題が急に身近なものに感じられる秋の宵であります。

う~む、三連休最終日の夜はブログ更新できてまう程に閑だったなあ。やばいなあ。
ウチのお客さんは現時点では「少数精鋭」(^_^;) なのであります。
ただ、嬉しいことに「おいしかったわ~。こんな奥まった場所でもったいない、四条で店出したらどうや」と言って下さる方や、天麩羅を絶賛してくれるお客さん、東京から単身赴任で来られて「やっと京都でおいしいそば食べられた」と言って下さる方等々あって、(まあ、お世辞半分と受け止めるべきなんでしょうけど…) 、好意的に受け止めていただいているという感触は得ているのです。

さて明日は忙しくなりますように。

んじゃまた
亭主敬白

けんか売ってんのかなあ?

友人から食べログにコメントがついてるで、との情報。
そうでした。店を回すのに精一杯でころっと忘れてたけど食べログに情報登録したのでした。
 で、そこで当店に関する口コミをどなたかが書き込んだ、と。
http://r.tabelog.com/kyoto/A2606/A260603/26016586/dtlrvwlst/1992719/

えと、つまり
狭くて、
油くさくて、
蕎麦打ちは下手で、おいしくなく
サービスが悪くて
ダメダメな蕎麦屋であると。
不快、とまで書いてあるなあ。

うん、まあ、改善の余地はたくさんあると認識してはおりますが、ここまでボロカス言われるとなるとこの御仁の意図がよくわからなくなってくる。
要はウチの店につぶれてもらいたいんだろうか?
同業他社の陰謀か?(笑)

出来たばかりで地域での知名度もなく、場所的に奥まった地点で通りすがりの一見客もあまり期待できない店、従って現状ではなかなか予算通りの実績を上げられていない弱小店を名指しでここまで罵倒するには何らかの意図ないし悪意の存在を疑わざるを得ない。(笑)
ご近所でチラシを見た、あるいは人づてに聞いた、という以外でウチの店を認知する方は今日びのことだからネットでの情報の比重が高いだろうと思います。で、私などもそうですが、食べログで検索、というのはとても手っ取り早くて、しかも口コミ情報は結構参考にする。まあ、だからこそ繁盛を願って食べログに情報登録したわけであります。
で、新たに出発した蕎麦屋に対する最初の口コミがこれだ。
弱点を指摘し、その改善を促し、新しい店の望ましい発展を願う、という趣旨の文章ではないよね。もう実にゲンが悪いなあ。
これ以後、仮にウチの店を擁護する口コミが寄せられても、身内によるヨイショ記事にとられかねない。下手したら「店主乙」とか勘ぐられる可能性もある。
つまり、この御仁はウチの店の健全な発展よりは廃業を望んでいるのだろうなあ。

店の近所にお住まいで、蕎麦好きの人らしいようだが、自分の家の近所に蕎麦屋が出来て、それがつぶれずに進歩発展していくことが許せない様子。マイ基準に照らして合致していないのがアカンみたい。そういう店は存在してはいけないみたい。しかし、それはジャイアニズムの一形態ではないだろうか。(笑)


名店を称揚するのは当然だと思います。
しかし、名店の水準に達していないからといって新店を公衆の面前でけなし、経営に悪影響を及ぼしかねない行為を行う(営業妨害というやつですね)というのはどうなんだろう。
フルトヴェングラー指揮の第九の水準に達していないからって国内オーケストラの第九をボロカスけなすクラシックファンはいないと思うけど、蕎麦マニアというのはそういうことを平気でするんだろうか?
私も過去に自分のブログで蕎麦屋評を書いたことはありますが、名指しボロカス批評というのは蕎麦好きとしてはするべきではないと戒めていたのです。店の進歩も経営の持続あってのことですもんね。営業妨害はしたらあかんやろう、と。ま、これも私個人のマイ基準に過ぎませんし、他人に押しつけられる筋合いでもないですけど、こうもあっさりやられちゃうと、同業他社の陰謀ではないか、とマジで勘ぐっちゃうのでありますね。この人ほんとに蕎麦好きなのか、と。

まあ、確かにまだまだ腕は未熟で(それだけに日々の進歩が自分自身で著しく感じられるぐらいで… (^_^;) )、接客についても課題は多いと自認しています。だからこそ日々研鑽しているわけですが、そうした猶予というか「長い目」というか、発展に期待するみたいなスタンスではなくて、ある個人の主観に基づいてある一時点での評価でもって存在を否定されるのは勘弁して欲しいなあ、とおもうのであります。

 とはいえ、当店にお越し頂いて不快な思いをされたわけだからその点についてはお詫びをする必要があるでしょう。こんど来店されることがあれば(多分ないだろうけど)お詫びしたいと思っています。

ただね、ネギを目の前で切ってないことでダメだしされてるんですが、ネギは臭いがきついので普通、蕎麦屋では切ってからしばらく冷水にさらすんですよね。(ネギを「クサミ」(臭み)と呼ぶ蕎麦屋もあります)。で、水を切ってから使うのです。それをひとつひとつ注文うけてからやってたら二八蕎麦がでてくるだけでも20分はかかってしまうんだけど、それでいいのかなあ。讃岐うどんはその場で切って入れるところもあるらしいですが、それは蕎麦屋の流儀とは違うと認識しているのです。ちゃんと仕事してる部分を捉えて仕事してない、みたいな言われかたされるのは割にあわんなあ。


長くなりました。
3連休のなか日。夜が暇だったこともあってきっと腹が立ってるんだろうなあ。こんなに経営あやういのになぜこの上営業妨害されなあかんねん、て。
まあ、所詮ネットの匿名言論ですから聞き流しておくべきなのかも知れませんし、プロの蕎麦職人ならそもそも食べログの口コミなんか歯牙にもかけず仕事に没頭するもんでしょうけど。ほんの半月程前まで素人だったものとしてはまだまだ悟りを開けません。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月16日木曜日

スタンプラリー始めます

前のエントリでちらっと触れましたが、開店2週間で既に3回以上御来店の方が何人かおられるのです。めっさありがたい。「おちこんだりもしたけど わたしは元気です」と言うことができるのはこの方たちのお顔が思い浮かぶから。
こういった回を重ねて来て下さるお客さんになにか目に見える御礼ができれば。
もちろん一回一回の御来店を満足いただけるようにすることは大前提ですが、その他になんか必要だなあ、と思ってスタンプラリーを始めるのです。



クリックすると全貌があきらかになる、はずです。

「登頂を記念して…記念の粗品をプレゼント」って我ながら悪文だなあと思いますが、昼の営業終了後のあわただしい時間につくったらこんなんになってもた。
これは2つ折りにして名刺サイズになる大きさ。エーワンのカード用紙にはこんなんもあんねや、とアスクルで見つけて勇んで購入したもの。
蕎麦と槍ヶ岳登山は客観的には何ら関連性はありませんが、当店のキーコンセプトのひとつは山、とりわけて槍ヶ岳ラヴな店主でありますから主観的には平仄がとれているのです。文句あっか?って感じです。

ということで明日から「リピーターさん謝恩&新規獲得キャンペーン」を開始します。
豪華な粗品を用意しているのです。(^^)

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月14日火曜日

わたしはかもめ

店を始めて10日がたちますがそうそうめざましくお客さんが増えるわけでもなく、ゼロの日もあったりして、不安と焦燥にかられたり、「まあ、焦ってもしゃあないわな」と鷹揚に構えたり、いずれにせよそう心安まる状況ではありません。
当初の目標というか採算点にもなかなか届かず、宣伝戦略をどう練るかということを真剣に考えざるをえないのではないか、いやいやまだ半月もたっていない状況でそう自分を安売りするようなマネをするのも将来に禍根をのこすのではないか等々、ま、ちょっと苦しい時期なんだろうなあと自己分析。

しかし今更ながらですが客商売というのはお客さん次第なもんですねえ、当たり前ですけど。そして総体としての「お客さん」というのはむら気でなかなかこちらからその動向を読むのがむずかしい。来るときは来るし、来ないときは来ない。まるで平安朝の妻問婚制度下で夫の訪れを待つ女性のような心持ちです。
と、同じような事を思った人が「盛り塩」というおまじないを始めたんだろうなあ…

「かもめ食堂」は映画で見ました。
自ら飲食店始めて急に思い出されるのは、色々あった末にかもめ食堂に大勢のお客さんが押しかけて満員御礼になるシーン。プールで泳ぐ主人公を周囲の人々が拍手で祝福するちょっとシュールな場面に続きますが、心象風景として確かに拍手をもらう設定は絶対必要だし、自分の店が満員になったら絶対拍手欲しいわな。店はオーナーの自己表現だし、満員になるというのはオーナーの存在を周囲が認めてくれた証しなわけですから。
蕎岳は残念ながら未だそこまではいっていない。まあ、ろくに宣伝してないのが大きいですが。


いつか満席になって行列まで出来て、みたいな状況になるだろうか?わずか20席の店とはいえ、それをいっぱいにするというのはかなり大変なことなのですねえ。
まあ、「商い(あきない)」っていうくらいですから飽きずに地道に続けていくしかないのですが。
徐々にあたらしいお客さんが来てくれて、常連さんぽくわずかの期間に何度も訪れてくれる方も何人かおられるので、希望の芽がないわけではないのですがね。

頑張らねば、と思っております。

エントリタイトルはチェーホフともソ連の女性宇宙飛行士とも関係ありません。なんとなく「かもめ食堂」を思い出したもので。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月11日土曜日

わさび

蕎麦屋やるならわさびは生の本わさびをすりおろして、と思っていたのです。
しかし、いざどこから仕入れるか、が問題で、中央市場や錦は遠い。送料かかるようなのは避けたい。
そんなところからとりあえずの妥協点として冷凍のおろしわさびでスタートしたのでありました。
先日、お客様から「わさびだけが惜しい、鼻につーんとこない」とのご指摘。なめてみると確かに辛いのは辛いけど鼻に来るあの感じがない。ごもっとも。おっしゃるとおり。

粉わさびを試してみる。練ってるウチから鼻にくる。いかにもわさびって感じです。
でもこのいかにも「わさび」っぽい刺激は実は西洋からしが入っていることによるものらしい。
ふ~ん

実は個人的には蕎麦にわさびは必要か?という思いを持っているのです。あんな刺激があったら蕎麦やつゆの味・香りが侵されてしまうんちゃうん?ま、ネギにしても一緒なんですが。
しかし、薬味のない蕎麦は確かに淋しいし、やはりつきもんですしね。

さて、どうしよう。
とりあえず生わさびが近所で入手できることがわかったので試しにそれで提供してみようと考えているところ。とはいうものの、生わさび、静岡産のやつですが、辛いしとても良い香りがするのだけれど鼻へくる感じはそれほどでもない。粉わさびのほうが遙かに強烈。

 結局、わさびに何を求めるか、ということに帰着するわけですが。
蕎麦がうまければそれでいいはずですが、それ自体も個々人の嗜好によって変わってくるわけですし。
さて、どうしよう。生の本わさびか、粉わさびか。
コストの問題もある。さてさて。
とりあえずしばらく試行錯誤してみるつもりです。

んじゃまた 
亭主敬白


2010年9月8日水曜日

初めてのお休み

ゆっくり7時過ぎまで朝寝坊。やはり睡眠時間が充分取れるとほっこりします。
台風の影響で雨。京阪バスで馬町の東山税務署へ行き開業届を提出し、源泉徴収についてレクチャーをいただく。
博物館の前で 市バスに乗り四条東洞院の労働基準監督署へ労災保険の手続きに。
とりあえずこれで最低限必要な手続きはほぼ完了のはず。

一度帰宅し、車で坂本へ。久々に鶴喜さんの蕎麦を頂く。重要文化財の店舗は相変わらず趣き深く、涼しげな印象であります。かつて(20年程前)、関西の蕎麦で初めてうまいと思ったのがこの鶴喜。実はここの蕎麦つゆの味が気に入っていて、モデルのひとつにしていたのです。
あいかわらず美味しく頂きました。ただ、今日は甘さがずいぶん強く感じられたのですね。私自身の嗜好が変わったのかなあ。
で思ったのですが、結局のところ万人が完璧にうまいと感じる味は存在し得ないのだろうなあ。公約数的に「うまい」と感じられる範囲というのがあるにせよ、個人の嗜好・その時の状態、地域性、文化性等々によって種々の基準が存在して「うまい」とか「まずい」とか「甘い」「辛い」とかいった評価が下される。
現実にウチのつゆも「本当に美味しい」とお世辞でなく(と見えたのです)おっしゃって下さる方もあれば、「関東風やな」(つまり醤油くさい、ということなんでしょうなあ)とおっしゃる方もある。大多数のお客様の好みを把握することが必要であることは言うまでもないのですが、最後のよりどころはやはり自分自身でうまいと思えるかどうか、なんだろうなあ、と。その味をぶれずに自信を持って提供し続けることによって店の味が確立されていくのだろう。それをうまいと思ってくれる方はリピーターとなってくれるのだろうし、口に合わない方は黙って別の店を選ばはるんだろうし。
てえなことを考えながら、一方で、んなことを考えてる内はまだ素人に毛が生えたようなもんで、ホンマのプロは黙ってせんなんことを地道にやるもんなんだろうなあ、と思ったり。
いやあ、まだ開店一週間。名実共にプロと言えるまでにはまだまだ時間がかかるようで。ま、当たり前のはなしであります。

帰って昼寝して、昭和4年創業の近所の銭湯「東野温泉」でゆっくりして、晩飯の後パートさんたちの給与計算やって、ためしてガッテン見て、このブログ更新して、んじゃあ、明日に備えてぼちぼち寝るかあ。

んじゃまた
亭主敬白

The longest week

開店して今日(9/7)が6日目。
長かったあ。

開店ご祝儀相場は初日だけであとは連日お客様の数は漸減傾向。心配したパートさんが店前でビラをまいてくれ知り合いに声をかけてくれ…。いやもうじつに当事者意識の旺盛なパートさんで、頼りない店長としては本当に感謝しています。
そうした努力が徐々に実を結び、定休日前の今日はどんと持ち直し、注文の処理とお客様の対応に負われて忙しい一日。昨日は初めての予約電話もいただきました。めっさうれしい。
お客様が居なくて暇な時と、注文に負われて忙しい時とを比べると、暇なときの方が格段に疲れます。

何とか一週間が過ぎ、開店前心配してた「注文が立て込んでしまった時にちゃんと回せるだろうか」という不安は解消できたように思います。まだまだ無駄な動きや戸惑うことも多いのですが、「まあ、どうなとなるわいな」という自信というか腹のくくり方が出来たということだと思います。最初から完璧な店なんてあらへんし~、という開き直りも板についてきたような…

ということでがんがん宣伝していって、いっぱい来てもらうことを考えるべきステージにようやく到達した感じ。「食べログ」にも登録いたしました。「ぐるナビ」は広告料が高いのでちょっと考え中。あとは新聞折り込みかなあ。それともじっと我慢で口コミが拡がるのを待つか?

ま、なんにせよ全くの素人が開業してなんとか一週間が経過。よくここまで来たなあ。もちろん多くのかたの手助けを得てこそなんですが。しかし、手助けを受ける主体あってこそ、手助けをする客体が存在しうる訳ですから、そもそもは自分自身がふんばらんとあかんわけで、ふんばったからこそ助けていただけると思うと、頑張った自分を誉めてあげたくもなってきて、んなわけで一日の集計をしながら生中を頂いてささやかながら開店一週間をお祝いしたのです。

明日は、ってもう今日になってるやん!とにかく夜が明けたら税務署へ行って開業届をだしたり、労基局へ行って労災保険の手続きしたり…、溜まってるデスクワークもなんとかせんと。
てえなわけでもう寝ます。

あさってからは繁盛しますように。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月2日木曜日

第1日終了

終わりました。
疲れてはいますが達成感はあります。

スロースタートで行こうと考え、ほとんど宣伝はせず、開店2日前にようやく近所のマンションにチラシを入れたくらいでゆっくり行けると思ったら、知人をはじめチラシを見たという人が詰めかけ、1時半には予定していた量の蕎麦が底をつき、売り切れ仕舞い。

夜は5時開店するも6時過ぎまで開店休業状態。7時ころからどんどんお客さんが入り、てんてこ舞い。
なんとか回しましたが、忙しかった。
蕎麦屋をはじめると多くの場合体重が減るらしいですが、むべなるかな。めし喰う間も余裕もない。

御来店のみなさん、ありがとうございました。今後ともどうかごひいきに。

さて明日は?
しばらくスリリングな日々が続きます。

んじゃまた
亭主敬白

本日開店!

2010年9月2日 11時30分
開店します。

蕎麦好きの方
酒好きの方
山好きの方
山科の歴史と文化に興味のある方
とりあえずお腹空いている方
御来店 お待ちしています。

さて、今日は熱く長い一日になりそうな…

んじゃまた
亭主敬白


2010年9月1日水曜日

いよいよ明日開店

やるだけのことはやったと思うのですが…

あれこれ思うとめっさ不安。
お客さん来てくれるかしら?
逆に一杯来て対応できなかったらどうしょう?

考えてもしゃあないのはわかってますが…

しかし、とうとうここまで来てしもたなあ…

明日からは実力はともかく職業は蕎麦屋のおっちゃん。
明日は早い。
もう寝ます。

んじゃまた
亭主敬白


2010年8月30日月曜日

プレオープン2日目終了

昨日の2日目は昼も夜も賑やかで、夜はまるで居酒屋のように一品料理の注文が相次ぎ、って、ウチは夜は蕎麦居酒屋だからこれが正常な姿なわけですが。
うむうむ、あんな感じなんだなあ。

受けた注文をまだ全部出せていないのに追加の注文。結構ドキドキするもんであります。で、だんだん何を出して何を出していないのかがごっちゃになってきて、ちょっとパニクりかけましたが、並んでいる注文伝票のチェック印をみて確認すれば大丈夫。
まあ、そんでも、酒と一品と蕎麦を頼んだお客様に、蕎麦の出し時を確認できたり、複数種類の蕎麦の注文をまとめて湯がいたり等、短い期間でしたが横浜でのプチ修行で体験したことが役に立って居るなあ、と思うこともしばしばあって、「お、わし、ちゃんと回してるやん!」。
それにしても、段取り八分といいますがホンマですね。事前にちゃんと仕込んでると慌てず騒がずスムーズに行けますが、なんかの拍子に段取りが狂うともうぐだぐだ。
 とはいえ何とかなったのは、パートさんの働きのおかげ。機敏に動き、判断してくれ本当に助かりました。
いやあ、一人ではできんわ、これは。

夜のお客様が「昼間も店開けはったら、よろしいのに」とアドバイス。??え?? 昼間も営業しまっせ!?
で、気がついたのですが、どこにも営業時間や定休日の情報が掲示されていないのでした。そらわからんわ。せめてメニュー作るときにそこらを入れたら良かったんですが。
で、今日は「営業のご案内」を作り、ついでにホームセンターで買ってきた厚板で通りに出す看板を製作。営業の案内とメニューを透明アクリル版ではさんで広く情報を提示するブツが完成。ちゃんとニス塗りもして素人ながらなかなかのできばえに満足満足。
こういうのんが必要だ、ということことに気がつけたのも、本番の前にプレオープンやった成果です。

で、思いがけず多くの方々からお花やご祝儀をいただき、実にありがたい思いをしています。みなさん、おおきに。

さて、いよいよ9月2日11:30 開業。
実はまだまだ不安が一杯ですが、あれこれ思い迷う時間はないのです。実践で打開せなしゃあない。と、ようやく腹がくくれたみたい。このところずっと、不安感からかあんまり食欲なかったのですが、今日はだいぶ空腹感を覚えています。

青色申告用の会計ソフトも買うまでもなくフリーソフトで何とかなりそうなめどもついたし、よっしゃ、晩飯だ~。

んじゃまた
亭主敬白


2010年8月29日日曜日

プレオープン1日目終了

28,29両日でプレオープンの催し。
昨日はその1日目。
お世話になった方々やご近所の方々が御来店下さり、とりあえず出した料理は全部食べて下さったので、まあ、とんでもなくまずい料理ではないのだとおもって一安心しています。
とはいえいろいろ失敗もあって。

理想とするのは細くてコシがある蕎麦。
しかし、昨日は茹で時間が若干長すぎたようで、全然しゃきしゃき感のない駄目蕎麦を出してしまいました。夜のパートさんとの反省会で茹で時間短めにして試食したところ、同じ蕎麦かと思う程おいしくなったのでした。微妙なもんであります。
蕎麦つゆもちょっと辛かったようで、その辺も今日は改善。

段取りとか、ムダのない動きとか、まだまだですがちょっとずつ身につけていくしかないすね。
今日も一日頑張ろうと思います。

んじゃまた
亭主敬白

2010年8月26日木曜日

蓮如蕎麦

山科は中世、蓮如上人が山科本願寺を造り一大都市国家を営んだ地。
その蓮如上人のお墓は当店から歩いて10分ほどの所にあります。これほどの歴史的人物がかつてこの山科に居たという事実がありながら、蓮如上人の名を冠した商品が存在しないのを以前から不思議に思っていました。
 観光旅行というのはある意味、予定調和を求めることが目的の部分があると思っています。どこそこに行ったら土地の名勝を見、名物に舌鼓を打つ、というのはセットだろうと思うのです。
 蓮如上人の御廟所に詣でる。東西本願寺の山科別院にお参りする。蓮如蕎麦を食べる。(蓮如餅とか、蓮如うどんでもいいわけですが)知的好奇心や信仰心を充足させたらそれとセットで食欲も満たされそれで初めて完結する、と思うのです。
しかし…ないのですね、山科には蓮如さん関係の食べ物は。

んじゃ、作ろう、と思って蕎岳オリジナルニュー、蓮如蕎麦。作ってもた。
蓮如上人は北陸地方にも大きな足跡を残しています。それに因んで越前蕎麦風のおろし蕎麦に香ばしく揚がった蕎麦の実をトッピング。大根の辛さ、カツオの味わい、ネギのさわやかさと出汁がからまり蕎麦の実の香ばしさと食感がまた絶妙。(大根は甘いおろしに変更も可能)
名物にうまい物なし、とはよく言いますが、これはうまい。と自画自賛。ま、まだ名物と認識されてませんが。
以前の越前おろし蕎麦研究フィールドワークがこんな形で実を結んだわけです。

今日は実家が西本願寺さんの御宗旨だった関係で西の別院さんのお坊さんに店に来てもらってお経を上げていただきました。その際メニューをお見せしたら特に怒られることもなく、むしろ興味を持っていただいたご様子。折を見て東の別院さんにもご挨拶はしておかねばと思っているのです。

 んじゃまた
亭主敬白

酒の山、器の洪水

開店を一週間後に控え、今度の土日にお披露目とオーダーからサービスへの練習をかねてプレオープンで近隣やお世話になった方や工事業者の方をお招きするのです。
いよいよカウントダウン、という感じです。

手打ち蕎麦屋兼居酒屋、かっこよく言うと蕎麦ダイニングとか言うのかも知れませんが、ある種、ヌエ的な店をしようと思うと一定程度酒類のバリエーションが求められる、と思って酒屋さんやメーカーさんと相談してあれこれ仕入れたのです。
いざ酒類が入荷し、ビールサーバーも設置されてみると…、ああ、場所ふさぎやなあ…
生ビール、瓶ビール、フリー、日本酒4種類、焼酎5種類、チューハイ3種類、ウイスキー、果実酒4種類、ワインも赤白おまっせ~。
もう酒だけで厨房内あふれかえる感じ。
そしてそれにともなってジョッキ、タンブラー等の器が酒屋さん、メーカーさんからの御寄贈もあってどんと入ってくる。
こいつ等を一体何処に収納するか、またパントリースペースをどう確保するか。この期に及んで大きな課題が持ち上がる。ホームセンターへ走って急遽作業台をこしらえ、当面使わない食器をデッドスペースに移動し、すったもんだの大騒ぎ。で、まだ全部収まりきってはいないのです。

酒類を扱うにあたっては、どれだけのスペースが必要か、収納や作業空間をどうするか等をよく考えて思い切って割り切る必要があった、と今になってちょっと後悔しています。料理メニューはずいぶん刈り込んでシンプルにしたのですが、ドリンクメニューは分不相応に多い。

酒が異様に充実している「そば切り 酒肴 蕎岳」のグランドオープンは9月2日。飲みたい方はお楽しみに。

んじゃまた
亭主敬白

2010年8月21日土曜日

ESCAPE FROM THE HELL

実は3日前からエアコンの調子が悪かったのです。
ふと気がつくと風を出さずに止まっている。操作盤にはエラーメッセージが点滅。
この夏の猛暑。風の通らぬ店内。
その中で稽古のために1.5kgのそばを打っているとどうなるか。

水回しやくくりまではまだいいのです。まだウォーミングアップの段階みたいなもんですからね。額にうっすら汗がにじみ出る程度ですんでました。
問題は延しにかかってから。
汗が止まらない。額や胸、腹、背中はまだいいのです。始末に負えないのは腕、手に湧く汗。
生地に落とさないように気を遣ってはいても、腕を通じて流れ落ち、また手のひらからも汗は出る。こうなると延し棒が転がらない。タオルで頻繁に延し棒と手のひらをぬぐって水分を拭き取り拭き取りだから実に作業効率が悪い。
そして打ち粉が汗を吸い、手のひらでぬめる。果ては固まる。伸していると生地に点々と白い打ち粉の塊が落ちてくる。

包丁も手のひらが汗をかくと大変なのですね。柄が水分で滑る。汗を吸った打ち粉のぬめりで滑る。

もうさんざんな蕎麦になってまって。(これはさすがに人には出せないのでもったいないけど処分したのです)
もちろん全身汗みずく。一息つこうと座った椅子がびしょ濡れでした。真夏の体育会系って感じです。

エアコン、結局交換(2006年製の中古です)せざるを得ませんでした。エアコンがあるから決めた物件なのに。思わぬ出費に涙と冷や汗であります。

今日の10時からようやく業者が来てくれて暑い中、エアコンの交換。考えたらエアコンを扱う職人さんって、ほぼ間違いなくエアコンがないところで作業するわけで、あれも大変な商売ですねえ。

エアコンは調べてみると配管のどこかからガスが漏れていたらしい。古いエアコンはそんなところが要注意だったのですねえ。古いエアコンはある種賭けみたいなもんですね。あると思って安心してはいけないのです。できれば交換出来るだけの資金は残して置いた方が無難ということですね。私はこれで予備費が底をついてしまいそう。あらあら。

 さて、結構難工事だったようで、職人さんは「現場見てから値を言うたらよかった。ワシのチョンボやわ」とぼやいておられました。それでも本体15万、工事費15万。痛い痛い。

しかし。エアコンが効くというのは実に快適なもんですな。思いがけず数日間「ゲゲゲの女房」の時代を 体験しましたが、もう本当に、エアコン、偉大な発明です。炎熱地獄から脱出し、ようやく生き返る思い。
それにしても、開店前でよかった。

んじゃまた。
亭主敬白


9月2日グランドオープン

まだまだ準備不足の感は否めませんが、9月2日オープンします。

もう一人必要なパートさんは今から面接するところ。
ええ人であることを祈っています。

とりあえずご報告まで

んじゃまた
亭主敬白

2010年8月9日月曜日

模擬営業

料理の修業とオペレーションの練習を兼ねて、お昼には前職の関係の事業所の方に食べに来てもらっています。
朝、「出勤」して店の前を掃除、その後、軽く500gの蕎麦を打ち、近所の西友へ買い出し。天ぷらのネタやネギ等を買って仕込み。
今日の課題は薬味用にネギを薄く切ること。昨日よく研いで置いた菜切り包丁のおかげか思ったよりもスムーズに。今日のネギは白ネギでしたが、明日の課題は九条ネギ。こちらはどうなるやら。

昨日集中的に天ぷらを練習したので、ちょっと余裕ができた感じ。で、ネギの後は蕎麦豆腐の作成。出汁とりから流し缶への投入まで無事終わり、明日のお昼に出してみようと思っています。

そうこうしているうちに事前にご連絡を頂いた方が2名御来店。
今日の天ぷらは、海老、万願寺とうがらし、オクラ、まいたけ。抹茶塩を添えて。
天ぷらができたら蕎麦を湯がいて天せいろの完成。薬味や汁も忘れず添えて無事提供。
完食してくれたのがありがたい。まいどおおきに、またおこし~。

で、あとは自分の分の天せいろを作って食べてみる。衣のさっくり感が不足気味。他人に出すのと自分で食べるのでは作るときの緊張感がちがうのか?

今日はそれから西御坊(西本願寺山科別院)さんにいったり、京都市内の製粉業者を訪問したり、携帯電話を訪問先に忘れてきて慌てて取りに戻ったり、消防設備業者が来て避難設備の工事の見積にきたり、夜のパートさんの応募があったと職安から連絡があったり…。

まあ、とにかく走りながら考えて、走りながらいろいろ整えて、走りながら自信をつけていかなしゃあないですわ。はい。

んじゃまた
亭主敬白



2010年8月6日金曜日

実地練習

蕎麦打ち用の台ができ、大きいこね鉢を入手はしたものの、返しや出汁を取る鍋がなかなか入荷しない。というのも返しを取った寸胴を常時厨房の何処に置いておくかを考えていろいろ採寸したりして発注が遅れたのでした。
せっかく打ち場ができたのだからと勇んで蕎麦を打ち、ご近所の知り合いに食べてもらったりしてたのですが残念ながらというかしゃあなしに蕎麦つゆは近所の西友で買ったもの。甘いんだな、これが。
さて、ようやく耐腐食性のモリブデンの寸胴鍋が到着。いよいよこれから「返し」の本格作成。
みりんが2升、砂糖が3kg、醤油が1斗。
家でちまちまと作ってるのと比べると雲泥の差であります。一斗缶からどぼどぼと醤油が注がれる様子は感動的ですらあります。

翌日はいよいよざる汁の作成。
本枯節の厚削りを25分、あく取りしながら煮込む。(一茶庵では薄削りを1分ほど、と習ったのですが、関西では本枯れ節はあまり需要がないぶん値が高く、花カツオでは高すぎるとのカツオ屋のお兄さんの話を聞いて、厚削りでいくことにしたのです。)
見事に黄金色に色づいた出汁に昨日つくった返しを合わせ、温める。みりんと酒で最後の味を調えいざ完成。
一口なめる。ちと辛いかなあ?みりんをちょっと足すか?ん~?ま、冷めたら、そして時間がたてばもうちょっとまろやかになるはず!
氷で冷やしてとりあえず店で作る第1号のざる汁が完成。一口味見。う、うまい!なんてかね、至福の瞬間?つゆがおいしくできたっていうのは本当にうれしい。

てなわけで近頃は朝イチで500gから1kgの蕎麦を二八か十割で打って、近所の知り合いに練習で揚げている天ぷらやかき揚げをつけたざるそばを食べてもらい、その辺を日課にして後の時間で開店準備に動いています。

パートが決まらなかったり、居酒屋メニューが決まらなかったり、いろいろ不安があったりするのですが、ま、いいや、おつゆがおいしくできたし。

明日は同期の方が浜松で開いたお店に行ってこようと思っています。開店二ヶ月あまり、ということで身にしみた話が聞けるにちがいないと思っているのです。

んじゃまた
亭主敬白


2010年7月30日金曜日

工事完了、保健所OK

メインの工事や厨房用品等大物の搬入は先週中、23日には終了していたのですが、タダでもらった製氷機の調子が悪くその交換に時間がかかったり、カウンタと厨房を仕切るフィックスガラスができあがらなかったり、安いのを仕入れてきたテーブルの色が気に入らないので黒ペンキを塗って漆塗り風のテーブルにしたり等々、細々とあるものですね。
パソコンにスピーカーをつないでItunesで有線ぽく音楽流す仕組みつくったり、fax・プリンタ複合機を買ってきて何とかあまり目立たぬように収納したりだとか…。

昨日は京都市保健衛生協会だったかな、そんな名前の団体が主催する食品衛生責任者の講習に丸一日参加。無事修了証もゲト。

かくて今日は10時30分から山科保健所(今は保健センターっていうみたい)の担当の方が御来店。申請書類と照らし合わせて、はいOK。8月2日には営業許可をいただけるそうな。

てえなわけでハード的には開店に向けての大きな山は越えたと思うのです。消防関係の設備とか、あるけど、まあ、保健所の許可がえられてるしね、非常誘導灯の設置と消火器の設置くらいのもんですから。

さて、肝心のソフト面での整備が問題であります。
人、メニュー、オペレーション等々…
さらに課題の山は続くのであります。

今年は北アルプスは遠いなあ。って、そんな贅沢ゆうてる暇はないのですけどね。
せめて玄関入ってすぐの下駄箱の上に、昨年秋の東鎌大槍ヒュッテあたりからの槍ヶ岳の写真を飾って慰めているのです。

工事の方々、挨拶に回った方々、ほうぼうから手打ち蕎麦店への期待がこもごも語られるのを嬉しく、また不安も感じながら伺わせていただきました。
うむ。期待は高まっている。(地域の一部で。)

来週から色んな実務作業と併行して、現場を使っての調理トレーニングを開始。
知り合いに声かけて、喰わすことになるのでありましょう。

いよいよやなあ…

んじゃまた
亭主敬白

2010年7月23日金曜日

暖簾、看板

できたのですよ。とうとう。

なんてか、感無量ですね。我が店の暖簾と看板て。

元々使っていたフォントがデザイン屋さんにないとかで、別のフォントでの提案をされていたのですが、やっぱりロゴって顔ですもんね。ここは妥協したらアカンと思い、フォントも思い切って購入。(白舟書体の「まめ吉」)。「この書体」に惚れ込んでロゴに使った経緯もあるのでねえ。実はお金出してフォント買うなんて初めてだったのですが、ここはやっぱりこだわって良かったと思います。後々後悔したくないすもんねえ。

で、そのフォントを使い、素人ながらデザインした槍ヶ岳のイラストと合わせてできたロゴマーク。
それが暖簾となり街頭で店を宣伝する看板となる。
ある種宣戦布告ですよね。これで勝負するでェ!かかって来いよォ!

今後の怒濤への不安はありつつも、ささやかながらひとつのステップをクリアした達成感につつまれてちょと気分の良い夏の宵であります。(一杯入ったせいもあるけど)

改装工事も一段落。すったもんだはあったもののさすがプロ集団。なんとか乗り切っていかはりました。ただただ感謝感謝。

いいいよだなあ。

んじゃまた
亭主敬白

2010年7月22日木曜日

厨房が厨房らしく

この場合厨房というのは、言葉の本来の意味での厨房です。
「精神年齢中学生」を指すネットスラングではありません。

閑話休題。
シンク、冷凍冷蔵庫、製氷機、ガスコンロ等が搬入され、天井にはステンレスのフードも設置。いよいよ厨房らしくなってきました。
棚をつける場所など、収納関係の位置決めもきまり、今週末には予期された機能を整えた厨房として完成する予定です。
来週末には保健所の現地検分もあり、その上で営業許可ももらい、晴れて蕎麦屋として認められる運びです。
今日は搬入が終わった店で一人、FAX複合電話(兼コピー兼プリンタ兼スキャナ)の購入と設置。ビックリしたことに接続を予定していたソケットは玄関灯と連動していて玄関灯を切ったらFAX機が使用不能となってまうことが判明。急遽近所の西友まで走り延長コードを壁に沿わせて何とか常時FAX使用可の状況を実現。
はあ、たかがこんなことでも色々あるもんだ。

明日は電話のアダプタが届いたり、椅子テーブルが届いたり、ハード面の整備で忙しそう。
ソフト面としての調理トレーニングが後回しになりがちなのが気がかり。

ハードと言えばとうとう発注してまいました、2尺のこね鉢。
もちろん木のくりぬきではなく木質樹脂の加工品ですが、大きさは充分。これであたりに粉がこぼれるのを気にせず思い切り水回しできると喜んでいます。
やっぱりねえ、ステンボウルでの水回しではねえ、粒が小→中→大へと成長していく過程を現出せしめるのがなかなか難しかったのです。いきおい一気に括りに入ってしまっていたのですが、今後はその過程が丁寧に観察できるでありましょう。


そうそう、延し板用の板の購入にも行かねば。打ち場には大工さんがこね板を載せればいいような細工を既にしてくれていて、サイズ通りにパイン集成材(安いし丈夫)を切って載せれば延し場も完成するはず。あまった板は幅90センチで2等分すれば同寸のまな板が2枚できる予定。寄せ木のまな板に比べれば耐久性は劣るものの、最安寄せ木まな板に比べれば価格的に35分の1のものが2枚、両面あるから4面とれる勘定。繁盛して寄せ木細工のまな板が買えるようになるまではこれで我慢しようと考えています。

貧すれば鈍す?
いやいや、窮すれば通ず、と信じて頑張りたい。

んじゃまた
亭主敬白


2010年7月18日日曜日

器買い

大枠のメニューが決まり(まだまだ調整が必要ではあるのですが)、必要な器のイメージも固まりつつあり、業者からもらったカタログでの選定と共に厨房機器のお店やリサイクル店、百均などをまわってちょぼちょぼ買い集めているところです。
料理のイメージ、店のコンセプト、器の値段、破損時の補充可能性等々考えると、選択することの楽しさ以上に難しさを痛感します。
善いものを安く大量に、というのがベストなんでしょうが…。

京都では陶器市や清水焼団地の陶器祭りの季節です。
とはいえ、これらを回って出物を探して一式そろえるのはよっぽどのコネでもあれば別ですが、体力的・時間的に無理。
基本的な器はカタログ等で仕入れ、料理によって趣向をこらす目先の変わった器を求めるために陶器市を利用するのが現実的な様子。

ま、なんせ、貧乏所帯。当初はとりあえず形を整えるところから出発せざるをえないのが悲しいところです。
とはいえ、プラスチックのざるに蕎麦盛って出すような事はしませんのでご安心の程を。

店はクロス張り替えが終わりイメージ一新。思ったよりも明るい感じで満足しています。
(白熱電球を蛍光灯電球に替えたのも効果的だったり)
着々とハード面はできあがりつつあるのです。

んじゃまた
亭主敬白

2010年7月16日金曜日

簡易CAD

月曜日から改装工事開始。
あれこれと不要な物が外され必要な施工がなされていく過程を毎日朝と夕方覗いてはワクワクしているところです。

施工業者の建築士さんがいうには、今回図面を引く必要がなかったのでとても楽だった、ありがたかった、とのこと。

これはつまり、必要備品のレイアウト等について、私の方で図面を作ってこれで行きたい、という形で発注したことをさしているらしい。通常は物件があって、施主の希望を聞いて必要な機器を見繕い、サイズを測り、動線を考え、…という作業は厨房設計の業者さんがするみたいですね。で、それはいろいろな要素が加味されについて変更に変更を重ね、いずれにせよその図面は業者さんがつくるらしい。ま、それが仕事ですから当然ですが。

私の場合は、厨房設計専門業者がはいる以前に物件を見てレイアウトを考えて概略の見積をとる、という段取りをとったもので、厨房の配置図の図面なんかは自分で作らざるを得なかったのですね。というか、とりあえず作って、それを修業先の社長およびそば釜メーカーに送ってレイアウトについて意見をもらうという作業を繰り返して一応の成案を作って「素人」に近い業者に見積を依頼した、という経過があったもんですから、とにかく動線を考え使い勝手を考えた厨房を自分で設計し、図面を引く必要があったのでした。

で、使ったのがエクセル。CAD(=パソコン製図)のソフトなんか持ってないし、必要性も感じてなかったもんで。
まず、行と列の高さ・幅をそろえて正方形の方眼紙っぽいワークシートを作る。
不動産屋からもらった概略図と、現地で実測した値をもとに物件の形を罫線で囲ったり、柱や壁を黒く塗りつぶしたりして、図面の下を作る。
方眼は10cm四方と設定。
さて、その方眼紙となったワークシートの上に、必要機器をオートシェイプを使って形を作る。たとえば幅120cm、奥行き60cmのシンクならセル12×6個分の長方形を作り、テキストを挿入して「物品名、WxDxHのサイズ、必要な設備(給水、排水、電源、ガス これらは赤い字で表示)を記入。
この要領で厨房に必要なすべての機器をサイズをきっちり調べてエクセルのワークシートに配置する。
縦置きしたけど横置きに変更したい、というときには「オートシェイプの変更」メニューに「回転・反転」とかがあるので自由自在。
これで水回りはなるべくそろえたい、ガス器具もまとめたい、と言ったことを考えるための情報も一覧化されてよく解る。
あれこれ考えて、あれをここへ、これをこちらへ、と言うときもクリックして図形指定して動かせばいいのでだいぶ楽。
まあ、方眼紙にテナントの図面を書いて何分の一かの縮尺で作った何枚もの型紙みたいな物をあれこれ並び替えるよりは遙かに楽。
で、これを一遍PDFファイルにして相談したい相手にメールで送って、それに基づいてご意見をいただく。これがとても具体的で役に立ったのでありました。
CAD用のソフトを持ってて使いこなせる方にはどうでもいい話ですが、エクセルだけでも簡易的なCADはできないことはないし、相手にこちらの思いを目に見える形で伝えるためなら充分それで用は足りる、ということであります。

で、結局施工業者の建築士さんは、テナントの図面はCADで作ってはくれたけど、厨房機器の配置に関しては私の作ったエクセルのシートをずいぶん活用してはったわけで、そら「楽やった」って言うわなあ。

とりあえず、使えそうなもんは何でも使え、ということなのですよね。山でもひとつのものをいかに多機能に使うか、というのが軽量化、安全化のためには必要な思考法だったわけで。
引き続きこの思考法は大事にすべきだと思っています。

器もなあ、兼用できる物は何でも兼用できたら安く上がるんだけどなあ…

明日からクロスの張り替え。またずいぶん店の印象が変わる事と思います。
「なんということでしょう!」とサザエさんに叫んでもらえるような嬉しい感じになったらいいなあと思います。

そういえば今日は祇園祭の宵山。明日は山鉾巡航のクライマックス。
まるきり無縁の日々が続くなあ。


んじゃまた
亭主敬白

2010年7月11日日曜日

京都市山科区音羽野田町15ループル音羽1F

と言うわけで店の場所です。
大通りからちょと入ったマンションの1階、自転車置き場の奥で美容院さんと隣り合っています。ちとわかりにくい場所ですが、まあ、京都伝統の町屋のロオジの奥にある店と思いこんでいただければと思います。
↓はグーグル地図のurl。エントリタイトルそのままコピーして検索しても地図は出てくると思います。


http://maps.google.co.jp/maps?q=%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%B1%B1%E7%A7%91%E5%8C%BA%E9%9F%B3%E7%BE%BD%E9%87%8E%E7%94%B0%E7%94%BA%EF%BC%91%EF%BC%95&oe=utf-8&rls=org.mozilla:ja:official&hl=ja&client=firefox-a&um=1&ie=UTF-8&hq=&hnear=%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%B1%B1%E7%A7%91%E5%8C%BA%E9%9F%B3%E7%BE%BD%E9%87%8E%E7%94%B0%E7%94%BA%EF%BC%91%EF%BC%95&gl=jp&ei=m6A5TLWiCoXBcbiS3PoO&sa=X&oi=geocode_result&ct=image&resnum=1&ved=0CBcQ8gEwAA

京都市営地下鉄「東野駅」徒歩4分。
JRびわこ線(東海道線)「山科駅」 徒歩20分。
京阪バス「山階校前」 徒歩30秒。
専用駐車場はありませんが西友SEIYUの駐車場が目の前、西友でお買い物すれば120分無料。
交通環境的にはいいと思うのですよね。
東京からでも新幹線使えば3時間かかりませんし。(笑)

看板は7月22日に取り付けられるらしい。そうしたらもちょっと目立つと思います。

んじゃまた
亭主敬白

お金のこと

必要な物品や運転資金について見積もって、不足分について日本政策金融公庫に融資申込みをしたのが6月の初め。
その1週間後くらいに面接があったのでした。
そこでの指摘事項が以下の点。
1,担保の評価額が足りないよ
2,収支計画の収入見込みが甘いんじゃないの?

担保については身内に無理言って別の物件を担保にすることでなんとかかんとか手を打ちましたが、それはそれでやはり一苦労ではありました。
もっと問題だったのは、見込みが甘いんじゃないのか、と言われたこと。担当の方のおっしゃることはそれなりの根拠はあるようで、それでいくと当初見込んでた支出と合わせると到底経営としては成り立たない。と、ここで一気に不安になってしまったのでありますね。
乾坤一擲の大勝負とはいえ万歳突撃するわけにはいきませんもんね。何らかの成算が見込めるからこそ勝負したろうと思っているわけで…。それが根底から覆されたような思いでしばらく冷や汗かきつつ不安から来る胃の痛みと嘔吐感に堪えつつ、修業先からのアドバイスも頂きながら収支計画の見直しと経営戦略・宣伝戦略の練り直しに注力をしておりました。とはいっても時々、不安でなんにも手に着かずに気ばっかり焦ってるみたいな時間もあったんですがね。

さて、担保は新しく別の物件を出したはいいけど、今度も評価額が希望融資額よりも低くなりますよ、とのこと。保証人を立てれば満額、ということらしいのですがポリシーとして保証人は立てまい、と思っておったのです。ま、ポリシーとゆうほどのもんじゃないですが、他人様にまでリスクを負わせる勇気がなかったわけですが。
ここにきて、また悩んだわけでありますね。
保証人がどうしても必要であるなら、このさいあきらめざるを得ないか、と。
今回は一旦撤退して業界で修行を積んで、無担保無保証人融資を利用できる資格を得てから再度挑戦すべしか、と。
(融資担当者は面接の時、飲食店での業務経験(おおむね6年以上)がないから無担保無保証人融資制度の利用は困難だろう、と言っていたのです。横浜一茶庵での修行は京都では実績として認められないみたい。プンスカ)

振り子のように揺れる日々が続きましたが、6月下旬、公庫から内示。保証人たてないなら希望額マイナス120万になるけどそれでもいいか?とのこと。
大あわてでエクセルの表を見直し、精査し、へつれるところはへつり、…うん、なんとかなる。運転資金もタイトではあるが最低限はできる。んじゃ、のるかそるか、いったれ!
と、最終的にはらがくくれたのでした。テナントの契約も工事の発注も、ご破算になる可能性もあるよ、と伝えてはおりましたが、最終的にGO!

かくて9月頭のオープンに向けて着々と進行しつつあるのです。
改装工事はいよいよ明日から。今日はネットが通じました。電話は今月末の予定。

振り返ると我ながらへたれの極致であります。ブログ更新する気も回らない、どうどう巡りのひびだったのでありました。なさけなやなさけなや。
ま、そんな奴でも店が作れれば後進の励みになるかな、と思ってなぐさめているところです。

んじゃまた
亭主敬白

2010年6月14日月曜日

メニュー基準表

どんな名前の料理を、
いくらで提供するか、
材料はどんなものを使うのか、
その量はどれだけか、
その原価はいくらなのか、
原価率はどの程度か、
標準的な料理手順はどうか、
どんな器を使うのか、
盛りつけのイメージはどんな感じか
といった情報を「メニュー基準表」にやっとまとめたのですが、なかなか大変な作業でした。

まず、メニューそのものがなかなか決められない。
あれもしたい、これも出したい、こんなのも面白かろう等々で原案をつくり、技術的な問題、原価の問題、環境上の理由、ロスを抑えるための手だてなどを勘案して削ったり付け加えたり…。一応これで行くか、と決めても店全体のコンセプトに照らして不都合な面が見えてきたり、コンセプト自体を考え直してまたイチから考えだしたり…。
そんなこんなで当初5月中にはメニューが決まりメニュー基準表もできているはずだったのですが、なかなかそうは行きませず…。なんか普天間みたいですが…

で、なんとかメニューがまとまり、それに基づいて一個一個の料理について細かく分析。
で、この作業も考えてる内に試行錯誤(思考錯誤)の連続になってまって。
あの材料はどう切ろう? どんな材料で飾り付けよう? この材料よりもあの材料にしたらどうだろう?
いやあ、いろいろ考えることがでてくるもんであります。
どうしても煮詰まったらとりあえず実践あるのみ、ということで作っては喰い作っては喰い…、というわけでさらに時間も喰い…。
基本をどこかの店で学びその暖簾を受け継ぐというかたちの開業ではないため、すべてが自由。選択し放題。
それはそれで楽しいのですが、あっちへふらふらこっちへふらふら、みたいな感がなきにしもあらず。

そんでもなんとか一応の完成。
 これでやっと次の段階、器の選択と原材料の仕入れ先の検討にかかれる。
これもまあ、無限のオプションの中から現実を規定する諸条件を見定めて妥協しつつできうる限り理想に近づけるべく努力する作業なわけですね。
とりあえずは器の選択ですが…。
漠っとしたイメージはあって器を選ぶことによってそれを具体的に形にしていくわけですが、もちろん予算の制約はつきまとう。おのずと選択肢は限られる。となると「ちょっとイメージにあわんなあ…」とカタログのページを繰ることの繰り返し。これもなかなか時間のかかる作業です。楽しみながら選びたいと思います。

しかし、当たり前の事ながら、いい器は高いもんですねえ。

んじゃまた
亭主敬白


2010年6月10日木曜日

面接通知

パソコン壊れたりとかあったわけですが、一方で融資方面での行動もしておりました。
改装工事予算については相見積もりの結果、なんとかこのくらい、という線が見えてきたのでそれをもとに全体の準備資金必要額をはじき出し、手持ちの額を差っ引いて融資必要額がようやく明らかになりました。まあ、これくらいなら返済も何とかなるかなあ、という額でおさまったのでホッと致しております。

で、やっと融資の申込みができる。
提出書類は
国民政策金融公庫の申込書と定型フォームの創業計画書。担保物件の登記簿記載事項証明、公図。
そして独自につくったA4版16ページの開業計画書。
こいつが力作なのです。なんせこの間こいつにかなりエネルギーを注いでおりましたので。
開業動機、店のコンセプト、資金計画、営業戦略、テナントの分析、周辺商圏の分析、収支予測、献立内容、価格設定の考え方、必要物品のリスト、店内レイアウト等々、漠々とした開業への思いをなんとか目に見える形にする作業の結晶と言えると思います。
これをとりあえずは京都府に提出。(設備資金の融資希望金額が300万以上の時は京都府知事の推薦をえなければならないので。)これが先週の金曜日。さてさて。いかがあいなるや。とにかくこれで賽は投げられた。とうとうルビコン川渡ってしもた。もう突き進んで勝利をもぎとるしかない!
さすがにちょっと震えますなあ。

しかして本日、国民政策金融公庫京都支店の担当の方から「面接の日程を調整したい」との電話。
うっしゃ、とりあえず京都府知事は推薦してくれたわけだ。第一関門通過!
(まあ、事務的に済む話なのでしょうし、特に関門でもないんでしょうが、そう考えた方がゲンがいいのでそうゆうことにしておきます。)

「6月○日、○時はどうでしょう?」
いや、もう万難を排して日程あわさせていただきます!その日で結構です!ありがとうございます!よろしくお願いいたします!
とまあそういう気分で受け答えして、はい、面接日決定。

「必要書類は郵送で文書をお送りしますので、そこに記載のものを○日までにそろえてご持参下さい。」
わかりました!必ず持って参ります!ありがとうございます!よろしくお願いいたします!
と、まあ、そんな気分で返事したのです。なんせお金貸してくれはる相手さんですから。自ずと緊張いたします。

さて、そういうわけで面接を受けることになりました。ここでしくじったら後がない。新たに融資申込みしてたら開店予定が伸びてまう。テナント料がムダにかかってしまう。なにがなんでも国民政策金融公庫で融資をうけねば…

とゆーことでがんばります。うむ散髪もしておこう。ネクタイの締め方覚えてるかな?

んじゃまた
亭主敬白



2010年6月9日水曜日

餅は餅屋という話

改装工事関係をどこに依頼するか。
当初、知り合いを通じて紹介をしてもらった工務店Aさんにお願いをして種々見積をとってもらっていました。
しかしながら高い。予算を軽く超えてしまう。いろいろアイデアを絞ったけれどもそうそう安くはならない。しかし、これは適正価格であるのか?どうにも判断がつかないので、別の工務店Bさんに相見積をお願いしてみたのです。当初、希望する工事にどれほどかかるものか、その相場がわからないのでAさんにはとりあえずの見積を出してもらったのですが、Bさんには「総額こんだけで」と枠組みを提示して見積依頼。
そうしたら、ちゃんと予算内におさめた見積が出てきた。あ、なんや~、いけるんやんかいさ。

ただA.Bともに一般住宅の施工がメインの工務店さん。実は厨房の改装工事なんですが排気やら消防関係の基準をクリアした工事内容になっているのか、もともとの案をもった施主としてはその辺がちょっと不安で、見積額が予算におさまったとはいえまだ安心できないと感じていました。

で、厨房機器や食器等を総合的に扱っているお店が改装工事もやってる、とのことでそこにも見積をお願いしてみた。
ふむふむ。ちゃんと予算内に収めてくれてるのは前提として、施主として不安を抱いている部分についてきちんと法令を踏まえて具体的な工法を提案し、こちらの予算を考慮してもくれる。予算を考えて涙をのんで諦めた部分の工事も割愛する必要なくきっちりやってくれるみたい。それはもう、ノウハウがしっかりあるんや、という感じがびんびん伝わってくる。
ああ、そういうもんか。
店舗作りというのは、それなりに専門分野なのですね。工務店ならどこでもできる、というわけではないんだ。こいつは考えが甘かった。やはり餅は餅屋。
たとえて言うなら餅を求めて今まで近所のコンビニやスーパーに行ってたけど、やっと餅の事をよく解ってる専門店に巡り会えた、という感じ。だいぶ遠回りしてしもたなあ。ま、しかし、実際着工する前に気がついてよかった、とも言えるか。
やはり、相見積もりは大事ですね。お金を安くあげるという事もあるけれど、それ以上にビジネスパートナーとして信頼できる専門性を持った相手を選ぶ過程でもあるのだ、ということを痛感。

権中納言教忠ふうに言うと

相見積(あいみつ)の 後のこころにくらぶれば 昔はモノを知らなかったぜ

んじゃまた
亭主敬白



2010年6月6日日曜日

クラッシュ オブ ……

突然の破局でした。

いつものようにパソコンの電源を落とし就寝。翌日電源を入れると、…起動しない。
白黒画面で「なんかがどうとかして失敗したよ」という英語表示がされるのみ。再起動しても一緒。
顔面蒼白。茫然自失。冷汗三斗。手指振戦。

なぜか知らねど15回に一回の割で起動するのでなんとかデータのバックアップは完了できたのは不幸中の幸いです。とはいえまともに起動しないんじゃねえ…。しかも起動してても、筐体をちょっと動かす程度の刺激でも落ちてしまう。だめだこりゃ。

保証期間内だったので安く修理できるそうなので修理に出す。さてしかし、直面するもろもろのデスクワークをいかんせん。やんぬるかな。


そういうわけでしばらく更新ができなかったのでした。

開店したら店用に安いPCを一台買おうと思っていたので、不本意ながらちょっと前倒しして購入。セットアップしてる最中に不具合が出てきて(初期不良というのは本当にあるんだ!)、すったもんだの交渉の上、着払いで送り、新しいのが送られてくる。再び同じ作業を繰り返す。
はあ~ orz

なんとか復旧しましたが、ずいぶん時間をロスした気が…。
ワークそのものではなく、ワークのための環境を整えるワークに注力しなければならないという状況はいらいらと焦るものであります。

ま、その甲斐あってなんとかしたので、また、短いスパンでの更新を心がけたいと思います。

んじゃまた
亭主敬白


2010年5月27日木曜日

高野山 精進料理 胡麻豆腐

以前から一遍行っておきたかった所なのですが、いつか行けるかなあ、などと思っているといつまでたっても行けないもんですね。やはり思い切らないと実現はしないものであります。
このまま首尾良く秋に開店できたらその後はそれこそ実現困難であろうと思い、ちょっくら行って参りました、高野山金剛峯寺。
京都山科からは車で片道3時間。ナビに従って行ったら橋本からの国道371号線は離合の困難な山道でエラい目に遭いましたが。
真言宗の総本山へのお参りというよりも精進料理の体験が主たる目的ですから罰当たりなことでありますが、主要な伽藍にはお参りをし、奥の院では弘法大師に商売繁盛をお祈りしましたので大師様も苦笑しながらまあ良しとして下さるであろうと思っています。

さて、精進料理。
植物性タンパクで動物性タンパクを模した擬(もど)き料理がメインなのかと誤解していたのですが、それは黄檗山万福寺の普茶料理の系統であるらしいのですね。
高野山は精進出汁を基本にして素材の味をそのまま味わうたぐいの日本流精進料理であるのだそうです。(このあたりの知識は高野町内の書店で急遽購った精進料理の紹介本に基づきます。)
炊き合わせ、野菜の天ぷら、胡麻豆腐といったオーソドックスな精進料理の面々ですが、…しみじみとやさしく美味しいのです。こんな味わいの料理を作りたい。と不遜な願いを抱いた次第。

で、胡麻豆腐なんですが、ネットと『るるぶ』で高野山に関する事前アセスメントをした際に「濱田屋」さんという胡麻豆腐専門店の情報をキャッチ。話のタネに行っておくか、と軽い気持ちで広からぬ町内をうろうろと訪ね回り何とか見つけて訪問。
店内で食べられるとのことなのですが、店員さんからここに選択肢が提示される。
「普通のわさび醤油か、デザート風に和三盆糖をかけたのか、どちらにされますか?」
しばし考えましたがね、これはやっぱり両方喰っておくべきだろう。
胡麻豆腐、もとより嫌いではありません。今まで何度も食べたことがある。
と思っていましたが、おそらく今まで本当の胡麻豆腐を食べてはいなかったのでしょうね。実に想像を超えた、軽やかな旨さをこの「濱田屋」の胡麻豆腐で体験したのでした。
あああ、胡麻豆腐ってこんなに美味かったんだ…。
わさび醤油はもちろんですが、圧巻は和三盆かけ。高野山中だからというわけではないですが、思わず<法悦>といった単語が脳裏をよぎったのでした。これがねえ、全然誇張とか言葉の綾ではないのです。和三盆がうまいのは言うまでもないですが、おいしい胡麻豆腐と出会うとさらに新たな世界が拡がる。これは味覚の両界曼荼羅や!(笑)  てなもんですわ。

これは使えるかもしれない、という思いも持ったのですね。ここの胡麻豆腐仕入れて提供するだけでも絶対値打ちあるだろうなあ。しかし、それでは工夫がないですね。原価が高い分、価格設定も高めにならざるを得ないし。
蕎麦豆腐でやったらどうだろう?こんな軽やかでコクのある旨さを持った蕎麦豆腐を作ることができたとして、それに和三盆かけたら…。
さて、どうだろう。ちょっと想像がつかないので、週末にでも製作・試食してみようと思います。うまくいきますれば…。乞うご期待。

んじゃまた
亭主敬白



2010年5月21日金曜日

火への油の注ぎ方 あるいはクレーム対応について

人間ですからミスすることはあります。対人援助の仕事とか客商売ではそれが人と人とが対面する場面の中で起こりえます。
運が良ければそれがクレームとなって顕在化します。(普通は黙って次回以降の来店を止め、運が悪ければ悪い噂を流したり、ネットの口コミに悪評を書き込んだり)
そのクレーム処理をどうするかが、クレーマーを味方につけるか、悪評をばらまくスピーカーにまで仕立て上げてしまうのかのカギを握っているのでしょう。

やはり基本は、まず、心から謝罪することだろうと考えています。
「ごめんなさい」でも「すんませんでした」でも、用語はともかく、大切なのは申し訳なかったという気持ちを相手に伝えることなのだろうと思うのです。
時には自分の落ち度ではないことでも客/クライエント側の誤解や思いこみによって不満や苦情が生まれることもあります。
 それでも、相手に誤解の余地を与えたことに関しては責任の一端を負っているわけですから、やはり謝るべきだろうと思います。

「お客様は神様」だからサービス提供側がへりくだるべき、というのではない。
みずからがサービス提供した相手が何らかの不快な思いをしたことについて客/クライエントの気持ちに寄り添い、自己のミッション(快適に過ごしてもらったり適格にニーズを充足させる)を全うできなかったことを反省し謝罪すべきであるだろうと思うのです。

「すみませんでした。」「申し訳ありません。」
まず言葉と態度でもって謝罪の意を伝えることで、相手は自身の気持ちや立場を理解してもらえたという認識を持つ。
もちろんその謝罪が受け入れられて、無事に事なきを得るかどうかは未知数ですが、しかしはっきりしているのはミスした側が誤りもせずにシレっとしてたり言い訳に終始していたら、治まるものも治まるまい。「なめとんのか。まず謝ったらどうや?!」ということになるだろうと思うと恐ろしくて夜も眠れない。

いや、なに、ちょっとクレーマーの立場を味わったもので。そしてある種最悪の対応をされたもので。なんかもう実に腹立たしい思いをかみしめているところなのです。
この思いは大切にしたい。
未来の我が客にはこんな思いを味あわさせるまい。
ではどうあるべきだったのか、どんな対応をされれば満足できたのか。
もう実に単純なことであります。
あやまれよ、まず。
え、なんやその謝り方は。ちゃんと謝るべきやろう。
わずか一言の謝罪の言葉がない、あっても気持ちがこもってるように受け取れない。そのために今日はこんなに腹が立ってる。

こんな小さな事で激昂してる自分はなんと小さいことか、とは思うのですがね。でもここで悟りすまして大目にみてしまうと、他人が同様の目に遭うときの気持ちや思いをないがしろにしてしまうような気がするのです。
あん時わし、ほんまに悔しかったなあ。今この人も同じくらい悔しいんやろうなあ。申し訳ないなあ。という洞察を行えるためにも今の気持ちはしみじみと味わって忘れないようにしたいのです。

人を雇えば接客のマニュアルを教育する必要があるわけですが、ホスピタリティの核心は煎じ詰めれば客の思いや感情に対する共感や洞察でしょう。ちゃんとした接客のためにはマニュアルに基づく基本動作の習得を前提としつつ、そうした心性のトレーニングも必要だろうと思うのです。
「心のこもった接客のためのロールプレイングゲーム」みたいなトレーニング法とか探せばあるかも。amazonとかでさがしてみようかしら。

なんだかなあの一日でしたが、接客に関して思いを深められ具体的な行動課題が新たに浮かび上がった、という意味では有意義だったと言えないこともないかな? ま、そういうことにしておきたいと思います。

んじゃまた

亭主敬白

2010年5月19日水曜日

越前蕎麦研究の旅

メニューの中におろし蕎麦は欠かせないと考えているのですが、どういう形態のおろし蕎麦にするのかは結構迷うところです。
使用する大根は基本はやはり辛み大根、無い季節はしゃあなし青首大根、ということになろうかと思いますが、さて、どのように提供するか。
1,もりそば・せいろそば・ざるそばの上に大根おろしをのせるか、
2,通常のもり蕎麦につける薬味のうち、大根おろしだけを大量につけるのか、
3,深めの皿ないし鉢に蕎麦を盛り、大根おろしをのせて、ぶっかけとするのか、
大きくは以上3種類に分けられると思うのです。オペレーションの観点からみれば通常のせいろ蕎麦にわずかなバリエーションをつけるだけの方が(つまり1,2のパターン)楽には違いなかろうと思いますが、冷たいぶっかけ蕎麦というのはとりわけ夏には捨てがたい魅力を発揮するだろうとも思うのですね。
と、考えたときに京都でも身近なぶっかけおろし蕎麦である越前蕎麦を思い出したのです。

あ~、そ~いえば越前蕎麦ってどんな感じやったっけ。何遍も食べてはいるはずだけど、イマイチ明確なイメージを持ちきれない。
つゆはどのように提供されるのだろう?
最初からぶっかけて?
汁徳利で?
大根おろしはどうするの?
おろしたままで?水は切るの?
そばつゆと混ぜるところもあったような。(勝山市で食べたのはこの形式)
そもそも小鉢でのぶっかけ蕎麦だけど、蕎麦湯はどんな風に提供されるのだろう?

あれこれ疑問が浮かんで、これは改めて越前蕎麦を研究する必要があるなあと考えていたのでした。
本日雨でしたが車飛ばしてフィールドワーク。つまり蕎麦のはしごです。目指すは久々の今庄(いまじょう)。いつの間にか南越前町という面白みのない名前の町になっておりましたが。
節約のため高速は使わず山科からR161バイパスで湖西路を北上、マキノ町から国境(くにざかい)越えて敦賀、木ノ芽峠を越えて北国街道の宿場町今庄へ。
越前蕎麦を今庄で代表させることには異論があるかもしれませんが、とにかく今庄は蕎麦どころ、そして京都から一番近い越前蕎麦の本場なのです。

今庄駅前の「そば師 忠兵衛」はあいにく定休。しからばと同じく駅近くの「ふる里」へ。店内は各地の土産提灯を飾った民芸調。4畳程の小上がりと磨き古木を使った椅子テーブル席が6客。
迷わず「おろしそば」。600円。
φ14cmくらいの小鉢に比較的白い蕎麦(挽きぐるみではないのですね、ここは。)、その上に刻み葱と大根おろし、そして花かつお。麺量は少なめ。小鉢にはすでにつゆが張ってある。つゆは普通のざる汁よりも薄い感じだけど鰹の風味が効いていてほのかに甘い。きりっと引き締まり角の立った蕎麦をかき混ぜておろし、葱、かつお、つゆをほどよくまとわせておもむろに口に運ぶ。辛い。美味い。
あ、絶品。

車で移動。
農協の前の「ほっと今庄 今庄そば おばちゃんの店」へ。おばちゃんがやってる「おばちゃんの店」という名前のおそばやさんなのです。テーブル・カウンター合わせて30席程の店内では、蕎麦をはじめとした土産物も商ってはる。
迷わず「おろしそば」550円。
同じく小鉢に、今度はちょっと黒目の挽きぐるみの蕎麦。刻み葱と大根おろしと花鰹。事前投入されたつゆ。
基本パターンはこれであります。
ただ、ちょっと蕎麦がなんだか頼りない。「ふる里」さんの後だからよけいそう感じるのでしょうが、なんかもっさりした感じ。あ、そうか、氷水で締めてないんだわ。
それと大根おろしが全然辛くない。皮むきおろしか、あるいはおろしてからの時間が短かすぎたか。辛くない大根おろしは舌触りの邪魔になるだけの存在でしかないなあ、と極論的感想を抱いてしまいました。とはいえ、まあまあ普通においしいおろし蕎麦。いかにも近所のおばちゃんがやってる感じのアットホームな接客は嫌いじゃない。メニューも充実。ネットでの情報発信も熱心。

せっかくだからともう一軒。「土の駅 今庄」。
靴を脱いで畳の部屋へ。8畳と四畳半の二間の客室。
ガラスの向こうでおばちゃんが蕎麦を切っている最中でした。
ここも迷わず「おろしそば」525円。
基本パターン通りの蕎麦におからの炊いたんがつき、なおかつ本日はコーヒーデーとかでレギュラーコーヒー勝手に飲み放題なんだそうな。(デミタスカップですが)
ここはつくし会だったかな、そんな名前の営農グループのおばちゃんたちがやってるお店のようす。接客もなんや鈍くさいなあ、せやけど憎めんなあ、というもっちゃりした、土着のお店の感じでなかなかよろしい。(マネはできませんが)

共通して蕎麦湯は蕎麦とほぼ同時に湯呑みで出される。汁は蕎麦の鉢に入っている分だけしか提供されないから、蕎麦湯の白湯を飲むのかなあ?亭主は鉢に残った汁を蕎麦湯に入れて飲んでもみましたが。越前流蕎麦湯の作法は要確認。

店の人に効いてみましたが、大根おろしは特に水切りはしないみたい。かといってそうびちょびちょでもなかったのだから、絞ることまではしない、ということなのかなあ。

思うに越前蕎麦は、「蕎麦打ちできないと嫁にいけない」という風土のなかでお母さんたちが作り続けてきた土着の食べ物なんでしょうね。そういえば3軒とも打ち手は女性でした。武生とか福井とかもっと都会の方へ行くと蕎麦職人による手打ちが主流になるのでしょうが、今庄はまだプリミティブな形態を保持しているということでしょうか。(たまたま目にした事例からのみの解釈ですからあまり根拠はありません)
地粉を石臼で挽いて手打ちする。つなぎをあまり使わずに打った蕎麦を土地の野菜でもって食べる。スローフードというやつですよねえ。

ともあれ、腹もふくれましたが、越前蕎麦について割と明確なイメージを持つことができたと思います。辛い大根おろしと蕎麦、そして葱、鰹節。シンプルではありますがこれはこれで最強の「出会いもん」だなあ。
開幕先発メンバーに入れるかどうかは別として、越前風のおろしそば、かなり捨てがたいと思っているのです。

んじゃまた
亭主敬白

改装の構想

9時過ぎから工務店の社長と改装工事の中身について詰めの話し合い。
いろいろ建築関係の専門用語が出てくるのですがだいぶこの辺の用語に強くなりました。

現存の小上がりを撤去してフラットにする。
当初の案ではタイル貼りでしたが、見積をみるとタイル貼り用のタイルとボンドの資材だけでも50万がとこはかかるらしい。
そんな金はかけられん。Pタイルとかそんな感じでいいんちゃうか。あ~でもPタイルじゃ安っぽいなあ。いっそ打ちっ放しっぽくモルタル塗りはどうだ?タイル貼りにせよPタイル貼りにせよどうせ下地は平らに仕上げる必要がある。だったらモルタル塗り仕上げでええやんけ。

「いやあ、モルタルそのままやったら見栄えが悪(わる)おすやろう」と社長。
せやけど、ない袖は振れません。なんかええ知恵ないですか?
「モルタルに色粉をまぜて、というのもあるんですが、モルタルのアク(アルカリ性の成分のこと?)に負けてだんだん色が抜けてきますんやわ。」
はあ
「炭を混ぜて黒くするゆうのんがおますなあ。これホンマに真っ黒になりますえ」
あ、それ黒漆喰みたいでええですやん。

といったやりとりをしながら安く、丈夫で、見栄えのよい内装工事を目標に頑張りました。ま、あんまりズバッと切り捨てたので社長がちょっと鼻白んだ様子もありましたが、ホンマに無い袖は振れないのです。厳しく「仕分け」せな立ちゆかなくなるのです。
ホンマにねえ、宝くじでも当たってればナンボでも内装に凝れるんやろうけどねえ。金がない分、知恵と力をだして節約せなしゃあないのです。おかげでちょっとづつ建築関係の用語を吸収する機会に恵まれているところです。

んじゃまた
亭主敬白




2010年5月15日土曜日

消失!

最高の五月晴れ、そして今日は葵祭。
融資申請文書作りとかのデスクワークをひとやすみして、久々の葵祭見物と上賀茂大田神社のかきつばたを目当てに自転車で山科から九条山を越えてサイクリング。
途中、さすがに下鴨神社のあたりはものすごい人出で、自転車での通行もはばかられるほど。
見事に咲き乱れた大田神社のかきつばたを堪能し、上賀茂神社に参拝。さて昼飯をこのあたりの手打ち蕎麦屋で、と御園橋を西行し2年程前に訪ねた蕎麦屋に向かう。ありましたありました。空き家が。
って、おいおい。いつの間に…?
ガイド本にも取り上げられて結構はやっていたと思っていたのですが…。

ちょっとショックでした。たしか二八と十割を打ち分けて提供しているくらいで、蕎麦にこだわるお蕎麦屋さんだったはずですから、亭主とある意味目指す方向性は一致している店だったのです。それが思ったよりも早く消えてしまっている。
開店させることと、それを長く続けることは当然の事ながら別のこと。続けることの難しさを思い知らされた気がして果たして俺はどうだろうかと自問せざるを得ない。

とはいえ、実際のはなし、心配してもしゃあないのですよね。打てる手だて、考えつく限りの手だてを尽くしてがんばるしかないわいな。ドリス・デイも唄っています、ケセラセラ、なるようになる、先のことなどわからない。


目当ての蕎麦屋が消えていたので別の手打蕎麦屋に行ったのですが、蕎麦の麺そのものは美味かったものの、ざる汁がなんだか全然好みに合わない。食べたかった蕎麦のイメージと違う。
欲求不満が募ったのでさらにもう一軒。変だなあ。二八のはずだけど小麦の味ばっかり強いそばだなあ。のどごしはいいんだけどね。ざる汁もやっぱりなんか違う。出汁がやっぱり好みではない。これも食べたかった蕎麦と違うなあ。
どちらも頑張ってるお店で、内装、接客、メニュー構成などいろいろと学べる店でした。ただ、蕎麦そのものは好みと違う。
ふと振り返ると、いつの間にか自分自身の蕎麦のアイデンティティというか、自分なりの蕎麦の味のイメージが結構しっかり形成されているなあということを認識した次第です。しかし、ちと嫌らしい客ではありますね。こんな客、自分の店には来て欲しくないなあ。(笑)

そういえば、消えたあの店は本当にどうしたのだろう。つぶれたのか?でもあるいは商売繁盛したためにもっと広いところへ移転したということも考えられます。長いこと行っていなかったから移転のお知らせもすでに撤去されてしまったのかも知れない。いいや、そうだ、そうに違いない、別のところで賑やかに営業しているはず!

といったことを考えながらペダルを漕いでいるうちに家に着きました。

あ、忘れてた、葵祭見るの。

んじゃまた
亭主敬白


2010年5月12日水曜日

テナント選定

テナントの目星は何ヶ月か前からつけていたのです。
きょう日はネットで”山科区””テナント”と検索すると仲介業者のサイトがいくつもヒットするし、いちいちの物件の内容まで把握できる。便利な時代になりました。ずいぶん前、仕事で不動産物件をさがしたことがありますが、区内の不動産仲介業者をいくつも周り、こちらの希望条件を伝え、出物があったら紹介をしてくれるように頼んでまわったものでした。その時もネットはありましたが、業者への連絡のためにしか使えなかったような。
それが今は自宅で様々な物件をさがすことができる。物凄い変革のただ中をくぐり抜けてきたわけですよねえ。
で、物件さがし。
条件としては、
1,山科区内。(もともとの動機が「家の近所で手打ち蕎麦喰いたい」ですし、地元で勝負したい。)
2,地下鉄駅近く。(街場で気軽に手打ち蕎麦、ちうのんもコンセプトですので。)
3,自宅近く。(長距離通勤は続かないでしょうし。)
4,スケルトンではなく「居抜き」。(なるべく初期投資は低く抑えたい。)
つまり、がらんどうでイチから造作が必要なところではなく、飲食店を営業していたところが全部ないし一部をそのまま残しているところを使いたい。
5,家賃(テナント料)の要らないところ
 まあ、しかし5番目の「家賃」については一定の譲歩はしても良いと思っていました。(^_^;) とはいえ安いにこしたことはない。
といった条件で探してたら、あったのです。そうそう都合良く居抜き物件なんか出てこないと思っていましたのでありがたい。
とりあえずは実地検分。
仲介業者に連絡して中身見せてもらうと、なんだかビミョーな感じ。中身は割といい感じに思えましたが、通りからすぐには見えにくいところに店の入口、そこへ至るエントランスはマンションの駐輪場と併用。京都風に言うと「ロオジの奥」ということになるかも知れませんが、とてもそういう風情ではない。どうしょうかな。
 周辺はマンションや商業施設がある区内ではわりとメジャーな人の集まるところ、のそば。

何ヶ月か様子を見たり周辺地域の状況を分析したりとかしてたんですが、考えたら手打ち蕎麦屋は目抜き通りで目立つ所にある必要はない。山ん中で繁盛している店すらある。もちろん美味いというのが前提ですが、手打ち蕎麦の専門店というのはマニアックな客が集う特殊な世界、というと怪しくなってしまいますが、蕎麦好きは旨い蕎麦を求めて何処へでも行く人種なんですよね。で、場所のわかりにくさというのは讃岐うどんブームが立証したように必ずしもマイナス要因ではない。むしろそれが魅力にもなりうる。
地下鉄駅そばで交通便利でありながら隠れ家探訪的な雰囲気を漂わせてる、っていいかも。

というわけで決断をいたしました。
まあ、駐輪場きれいにしてほしい、とかあれこれ前提条件はあるのですが、それがクリアできるのならここでいいかな? 

で、今日はテナント料をはじめとした条件についてこちらの希望を仲介業者の担当の方にお伝えしたのです。担当の方から家主さんにこちらの意向を伝えていただき、具体的にご検討いただく。

どうかお聞き届け下さいますように、と祈っているのです。
もしも願いが叶うなら、吐息を白いバラに変えて、家主さんには当店永久無料パスを進呈しましょう、深く感謝しながら。とかマジで思ったり。

んじゃまた
亭主敬白


対決! みたいな…

改装工事の見積があがったのはいいのですが、いかんせん当初のもくろみよりも高すぎる。
ということで本日10時30分から工務店さんへ伺い見積の積算根拠の説明を受ける。大事な虎の子の金を使うための話ですから自ずと真剣になりますね。
詳細な説明をとりあえず聞き、そのうえで率直にこちらの思いを伝えました。
開業計画書は3月末の時点で渡していますし、そこで施主側の思いや構想についても伝えたと思っておりましたが、結果的にはそうでもなかったみたい。それが色んな局面で感じられたので今後の信頼関係づくりのためには言いにくいことも言わなあかん、と腹括って疑問、不安、苦情等あれこれ伝えた上で、ぶっちゃけた財政事情に基づく削減目標を提示。
まあ、あれですね。先方さんも別に悪気があるわけではないのですけど、やはり目先の、「必要と思われる工事」費用の積算ということになってしまうのでしょうね。当方の予算も明らかにしてたんですけど、職人の発想ってそうなのかなあ?結果的に施主の都合とは乖離してしまっている。
ここは多分序盤戦の大切な局面なのでしょうね。こちらの懐事情や思いという「現実」と職人側の「理想」とはどっかですりあわせて軟着陸させておかねばならない。言いにくいことも言う必要がある。
それはまあ、施工業者なんかある意味ナンボでもいるわけで、アカン、と思ったら切ってしまえばいいわけですが、やはり山科のネイティブな工務店さん。<切る>ことよりも共存共栄といったことを大事にしたいという思いがあって、信頼したいがためにあえて言わなあかんことを伝え、その上でジンテーゼに至るといった形を目指したのです。甘いっちゃ甘いんですけどね。
結果的にそのプロセスを通じてお互いフランクに言い合える関係の基礎はできたかな、と。しかし、根が小心者ですから面と向かって苦情を言うことにどれほどエネルギーの要ることか。

あれこれとこちらからもアイデアを出し、現見積額の半額にすることを目標に据え、結果的に見積のやり直し、ということになりました。
ふむふむ。
すべてを一挙に解決してくれる白馬の王子様は現れてはくれないのですね。当たり前か。嫌な役割もすべて自分で全うせなしゃあないのです。
実はちょっとストレスな場面だったのですが、結局最後は自分自身の自己責任でなんとかせなしゃあないんや、ということがわかって改めて褌の紐を締め直した(もちろん比喩表現であります)、ということは収穫なんだろうと思います。

さて、融資申込みに必要な見積が揃いつつあるのですが、肝心のテナントとの仮契約はまだ。
んで、明日午前中に仲介業者と条件についての交渉をする予定を入れました。
これも結構正念場な場面ですよね。少しでも家賃、保証金、更新料が安くなればそれは経営の安定、初期投資の少なさに直結する訳ですから。
というわけで明日も山場のひとつが控えています。

しまった!もう「明日」とちがう!「今日」やないか!もう寝る!

 んじゃまた
亭主敬白

2010年5月10日月曜日

こっきん

今日は朝イチで四条大丸北の「こっきん」京都支店へ。
「こっきん」というのは通称で、正式名称は日本政策金融公庫。最近名称変更があったらしく以前は国民生活金融公庫と言っていたそうで、その略称が「こっきん」なんだそうな。
政府の中小企業支援政策の一環で、低利で融資に応じてくれるところ。

開業に当たって必要な資金、手持ちだけでは残念ながら全然不足するので借金をする必要があるわけですが、いろいろ調べたり聞いたりした結果、「こっきん」が一番フィットしている様子。
ただ、融資に必要な書類とか条件がイマイチはっきりしなかったので、直接聞きに行くに如かず、ということで行ってきたのです。
おかげで頭がクリアになりました。
手打ち蕎麦店つまり飲食店を開業したいという亭主の場合、「生活衛生貸付」という種類の融資が対象になるそうな。
で、亭主のように個人で開業する際の融資申込みに必要なのは
1,借入申込書
2,創業計画書
3,見積書
見積書は融資申込額の根拠があきらかになるものという意味で必要とのこと。仮に500万の融資を申し込むなら500万円分の見積書や契約書を提出する。
無担保無保証人の融資申込みならとりあえずはそれだけでいいらしいのですが、当方、自宅を担保にと考えているので、その場合は
4,不動産登記簿謄本、公図・建物図面
を法務局でとってこれもつける必要があるのです。

金利は5年以内なら2.25%、5年を超える場合1年毎に0.1%ずつ上乗せされるらしい。
無担保無保証人の場合、融資枠が1000万円以下になるのと、金利の上乗せが1.65%。つまり2.25+1.65=3.9%。これはずいぶん高いなあ、と思ったので自宅をカタに金借りる決心をしたのです。

申し込んだら、全額貸してくれるんですか?
と尋ねたら、「それは場合によります。」と当然のお返事。愚問でしたね。
要は融資申込み額に対する自己資金の額の比率や、資金収支計画等をみて、貸し金回収不能な相手と思われなければOKなようですね。
まあ、そのためにも創業計画書はきっちり作成して収支計画もリアルでシビアなものをつくり、結果的に「こいつ本気やな」と相手が思える、つまりこちらを信用させることが大切なわけであります。

書類は、設備資金で300万以上の融資を申し込む場合は府知事の「推薦書」が要るらしいので京都府庁生活安全課へ提出、300万以下の場合は「こっきん」へ、ということらしい。
はて、京都府知事が果たして推薦してくれるだろうか、とちょっとビビリましたが、考えたら個人的にお知り合いになって云々ではなく、先述の書類の中身がきっちりしてるかどうかが問われるわけで、つまりは事務的に提出先が変わるだけということのようであります。
んじゃまあ、がんばって必要文書をあつめ、書類つくるか。

その足で法務局に行ってもよかったんですが、あれ?山科区住民はどこの法務局やったっけ?と不安になり家でネット探索。で、わかったのですが、法務局でとれる書類(謄本等)はネットからダウンロートできるのですね。(有料)
あ、こりゃ便利、と思ったのですが、それをできるためには必要なソフトをダウンロードし、インストールし…。やっと終わっていざ該当ページを開いて動作確認してみたら、地図や公図が写らない。なんどかリトライしたけどだめ。はあ~。やっぱ法務局行かなあかんのか。この45分の奮闘はいったい何?

気を取り直して必要な見積を取ったり、収支計画作り直したりして日は暮れて。

晩飯のあと目星をつけてるテナントの改装費用について、お願いしてた見積がやっとできたと工務店さんから電話。
おおきに。とりあえず、ナンボになりました?
と、もらった額が予想以上に高かったので、現在頭を抱えているのです。
予定していた借金額の1.5倍になってまう!仮に全額融資決定されても、これを毎月返済していくのは無理。
これはこれは…。かなりシビアな交渉を工務店の方とする必要がありそうですわ。

んじゃまた。
亭主敬白


2010年5月9日日曜日

東京横浜蕎麦三昧その2

東急池上線久が原駅から蒲田へ戻り、東急東横線に乗り換え終点「元町・中華街」へ。
元町商店街の東端あたりに亭主がした蕎麦修行を主宰している一茶庵の営業店舗が。
店を開くにあたっていろいろ知りたいことが出てきたのでせっかくの関東行きの機会なので社長に無理言って見学をお願いしたのです。
約束は3時で、その前に麻布十番で更科系の蕎麦屋2軒はしごの予定でしたが、小林熱機で案外時間をとってしまい麻布十番はあきらめ横浜へ直行。で昼飯を何処で喰うかということですが、やはりここは本家の蕎麦をく喰っておくべきやろうと見学前に天ぷら蕎麦をいただく。天ぷら三昧ですな。
期待通りにおいしいそばでした。この「期待を裏切らない」というのはとても大切な要素でありますね。心すべき事と思います。普天間の事とか見ててもそう思います。

食事後、約束より早かったけど思い切って見学をお願いすると、こころよくご了承いただき厨房に入って写真撮りまくり。メジャーでいろいろ寸法はかって、あれこれ店長さんはじめお店の人に伺って、そうこうしているうちにお客さんが来店、注文を受けて提供するところを目の前でみることができたのも収穫。
見学しながら思ったのですが、何事によらず、当たり前のことを当たり前に毎日堅実に続けることが基本なのだろうなあ。それこそ当たり前のことではあるのですが。

テーブルやお盆の寸法、木鉢の高さ、のし台の高さといったことから接客のシステムにかかることまで脈絡なくいろいろ調べ、教えてもらいましたが、「営業をし続ける」ということについても考える機会となったのはありがたかったです。まあ、まずは身体が資本やねえ。

感謝感謝で店を辞し山下公園で通販生活の店を覗き、「あかいくつバス」で横浜の観光コースを一回りして中華街で飲茶。ちと食い過ぎたと反省しつつ関内駅近くの宿で前後不覚に眠り呆け、気がついたら五月晴れの素晴らしい朝でありました。

江戸文化を学ぶべく両国の江戸東京博物館へ。凝った展示に感心。昼前に出て地下鉄両国駅に向かう途中、噂のスカイツリーを遠望しちょっと満足。
昼は上野不忍池近くの池之端藪と蓮玉庵と蕎麦屋2軒をはしご。
どちらも老舗。東京の蕎麦屋。まあ、そこはかとないカルチャーショックを感じたわけです。
汁の辛さは予想通りでそういうもんと理解していましたが、一人前の量の少なさに驚愕。
それと、妙齢のご婦人が一人で板わさを肴にビール飲み、ざるそばでしめてる姿がかっこよかったす。東京の人はホンマに板わさで飲むんだねえ、と感心。

そしてバスで浅草方面、合羽橋道具屋街へ。
大阪で言えば道具屋筋にあたる街ですが、規模が大きい。店の数が格段に多い。もう、ワクワクしっぱなしで。どの店も魅力的でおもしろい。調理器具のワンダーランドに魅入られた次第であります。ここで以前から欲しかった片口ステンレスボウルをゲット。これで出し巻き玉子が上手くなるに違いない。(笑)
合羽橋で時間を喰いすぎましたが、浅草の観音さんにもちゃんとお参りして商売繁盛と健康を祈願。
バスで東京駅に向かう途中、秋葉原でこれも老舗のかんだやぶそばへ。ビル街の中の明治東京といった佇まいの店は文化財となっているのもむべなるかな。実に雰囲気のある名店であります。
ここで喉を潤すべくビール、そして頼んでみました「板わさ」。
ふ~~~~~~~ん。結構なお値段であります。1cm厚に切ったかまぼこ2枚分でちょっと高めの蕎麦屋のざるそば一枚分くらいはするのです。ま、たしかにうまかった。おいしいかまぼこです。
しかしなあ。我が店で出せるかなあ。まあ、ここらにも東西の文化の違い、価値観の違いというのがあるんだろうと思いますが、京都で東京風の「蕎麦屋で酒」といった文化が根付くのか?自らも実践したい文化習慣として認識されうるだろうか?悩ましいところではあります。
しかしつくづく思うのは、所変われば品変わる。日本は広い。商品の価格は文化的習慣にも影響されるということを目の当たりにした感があります。にしても、かまぼこ切ってわさびと醤油つけてあの値段かあ。ふ~~~~~~ん。と江戸の粋には無縁のお上りさんは思ったのでした。

さすがに疲労困憊し、京都へは新幹線で戻りましたが知識情報と蕎麦、天ぷらをしこたま詰め込んだ二日間となりました。
東と西の文化の違い。ここらとどう折り合いをつけるのか。江戸蕎麦およびその周辺文化をそのままブランドとして打ち出すか?付け焼き刃となる危険は冒さず、京都の、あるいは亭主個人の蕎麦として打ち出すか?
こうした課題が意識化されたという意味においても今回の東京横浜行き、有意義であったと考えているのであります。

んじゃまた
亭主敬白



2010年5月8日土曜日

東京横浜蕎麦三昧その1

さきほど自宅へ帰って参りましてね。とりあえず色んな意味で満腹状態です。

京都駅発23時の夜行バスで翌朝6時に東京駅着。お江戸日本橋をこの目で見、スタバで朝食、京浜東北線で蒲田へ、東急池上線に乗り換え「久が原」へ。
西島三重子の「池上線」という唄を知る人はもう数少なかろうと思いつつ、沿線風景に野口五郎の「私鉄沿線」を思い浮かべる私は、もう名実共におっさんであります。

久が原の駅から向かったのは小林熱機工業という会社。そば釜と天ぷら台はこの会社の製品にしようかな、と考えているのですが、いかんせん値が高い。
そば釜はねえ、しゃあない、と思ったのです。熱効率の良さ(=ランニングコストの低減)、茹でるための対流のつくりかた、等々修業先で使ってなるほどと納得したもので。
天ぷら台はどうだろう?修業先にも同じ機械があったけど、やっぱりボテペチャの天ぷらになってたし、ほんまにそんだけの値打ちがあるのんかいな?宝の持ち腐れになるんとちゃうかいな?IH調理器で温度管理しとけばええだけのことなんちゃうかいな?なんやったら天ぷらはメニューから外す手もあるしなあ…
4月の初め頃、電話でそんなことを専務さんに言ったら「とにかく一遍見に来てくれ」とのこと。見てくれたらわかる、とあまりにも自信たっぷりの物言いに興味を抱いたのと、我ながら天ぷらには自信がなかったのでわらにもすがる思いで東京行きを決意したのです。

結果ですか?
はい、もうよくわかりました。
私でもプロの天ぷら揚げられましたから。解凍ブラックタイガーの海老天、三つ葉とマイタケのかき揚げ。
いや、もうね、じつになんというかね。うまかったのですよ。
美しく花がさいてて。さくさくで。軽くて。衣がほろほろとして。海老もジューシーで。しかも冷めてもべたつかない。さくさくのまんま。
ようありますやん、お好み焼きみたいなかき揚げ。あんなんと全然違う。
専門店で出てくるような海老天やかき揚げが天ぷら修行わずか20分でできるようになる。
なんだか魔法のような体験をしたのであります。これは確かに値打ちあります。

これは山道具を選ぶのと同じ構図なのですね。
ゴアテックスの雨具は確かに高い。ただの雨具なら他にナンボでも安いのはある。しかし山を知るものなら迷わずゴアテックス(ないし同等の機能のもの)を選ぶし、体力や技術がなければ余計にそういう高機能の製品が必要なのですね。山登りしない人にはなんのこっちゃわからん話で恐縮ですが。

んなわけで私、すでに天ぷらには絶対の自信を持ってしまいました。(笑)
我ながら安易やなあ。なめたら後で痛い目にあうで~。でもそう感じさせてくれる体験だったもんで。
もちろんそこの天ぷら台を使えば、という前提条件付きですが、教えていただいた天ぷらの原理とコツは普通の天ぷら鍋の際にも活かせるなあと。
明日から俺の天ぷらは千倍美味くなる。
って今までどんだけまずかったんや、ちう話ではありますが、ホンマに上手になれるのです。簡単に。
いやあ、思い切って訪問して良かったっす。
これでちょっとくらいまけてくれたらもっといいんですが。結果的にこんだけ宣伝してんねんから専務さん、どうだす?なんとか勉強して…と、ここで呟いても屁の突っ張りにもなりませんが。

天ぷら問題を(財政面以外では)クリア できたと感じられたのは大きな収穫です。

んじゃ続きはまた
亭主敬白

<追記> 5/9
本日自宅で天ぷらに挑戦。完敗!
小林熱機の機具の優秀さを再認識した次第。

2010年5月6日木曜日

ロゴできました!

屋号・店名が決まったので、視覚に訴え記憶されやすいロゴを作る必要があります。

プロのデザイナーに頼む程の予算があればよいのですが、もちろんそんな余裕はないので自力で作成しなければなりません。
普通は”イラストレイター”というソフトを使うらしいですが、本職でもないのにそんな高価なソフトを持っているわけもありません。

ということでワードとペイントを駆使して作りました。


 ハンドメイド、というかPCメイドですが、なんとなくそれっぽく見えるではありませんか。
ちょっと満足。
さっそくこれを入れた名刺もつくりました。

このロゴ入りの看板が街中にお目見えし、このロゴ入りの暖簾が風にはためく姿を想像するとそれだけで気分がわきたちます。
山積みの課題に頑張って立ち向かおうという気力も湧いてこようというもの。

少しずつ店が形になっていく様は楽しいものです。


んじゃまた
亭主敬白

東京へ行って参ります

そば釜と天ぷら台のメーカーを訪問して、デモを見せていただくために週末東京へ行く予定です。
何十年ぶりかの夜行バス。11時過ぎ京都駅発、6時半東京駅着。
寝られるかどうか不安ですが、新幹線よりは確実に安く、自分で運転するよりも安心ですのでしかたないか、と。

せっかくなので、東京の老舗蕎麦屋を時間と胃袋の許す限り回って味わってこよう、六本木ヒルズとやらも見てみたい、合羽橋の商店街でいろいろ厨房用品や器関係も見てこよう、江戸東京博物館も覗きたい、話題のスカイツリーも見られるか、と欲望は果てしなく…。

色んな意味で実り多い東京行きにしたいと思っています。

んじゃまた
亭主敬白

2010年5月2日日曜日

創業宣言

蕎麦が好きなのです。
おいしいお蕎麦を食べたいのです。
やはり手打ち蕎麦だろうと感じています。
できれば毎日一回は美味い手打ち蕎麦を食べたいのです。
とはいえそのためにわざわざ車を走らせて遠方へばかり行っているわけにもいきません。
家の近所で、美味しい手打ち蕎麦の店があったらいいのに、とずっと願っていました。
でもその願いは今のところ叶えられていません。

しゃあない。自分でそおゆう店を作るか

というわけで始めます。

場所はまだ未確定。でも京都市山科区。
「職住接近」と「街場で気軽に美味しい手打ち蕎麦」がコンセプトです。

テナント確保や資金調達がうまくいくかはまだまだ未知数。
とりあえずこのブログから宣伝をスタート。

この秋、新蕎麦が出始める頃のオープンを目指します。
店の名前だけは決めました。
ブログタイトルにあります、
「そば切り 酒肴 蕎岳」

蕎岳は「きょうがく」とお読み下さい。
亭主の好物である「蕎麦」と「槍ヶ岳」から一文字ずつもらって無理やりコラボさせました。


おいおい準備状況をレポートしていくつもりです。
ナマ暖かく見守っていただければ幸いです。

んじゃまた。
亭主敬白