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2012年3月7日水曜日

春の新メニュー

いやあ、この冬はホンマに寒かったっス。
ようやくにして体感温度も上がって、ジグザグしつつも世間は着実に春に向かっておる!ということをしみじみ思う今日この頃なのであります。

さて、そゆわけで、蕎岳も春を迎えるのです。春のメニューです。新メニューです。春の息吹をワシワシと食べやうぢやありませんくわ。と意味なく旧仮名遣いになるほど春に浮かれている店主です。

☆春の天ぷら 480円
ふきのとう、なのはな をさくっと薄ごろもで揚げた春菜(しゅんさい)の天ぷら
ふきのとうのほろ苦さ、なのはなのこっくりした味が「すぷりんぐはずかむ」感を高めます。

☆超絶美味 ホタルイカの天ぷら 480円
昨春から季節メニューに取り入れ、大好評をいただいたホタルイカ天。今年もいよいよシーズン。蕎麦粉の衣のさっくり感。温めたイカの身の甘さ。ミソの複雑玄妙な味わい。 あ、書いててもよだれが…。(^^;)


☆春の海老まつり 開催

1,海老ペペロンチーノ 380円
大振りのブラックタイガーを大胆にぶつ切りにして蕎岳特製ガーリックオイル(エクストラバージンオリーブ油使用)で薫り高く炒めました。ニンニクの香ばしさ、唐辛子の辛味、塩コショウのシンプルで深い味わいは後を引きます。

2,海老マヨ 380円
ごま油で炒めたぷりぷり・熱々の海老にマヨネーズをからめたビールに最適の一品。マヨラーのあなたに。

☆そば屋のライスコロッケ 480円
お蕎麦のダシで炊いたご飯に舞茸、チーズを混ぜ込み、俵型の可愛いコロッケに仕上げました。特製トマトソーズが美味さを引き立てるトラットリア風のひと皿です。 

ぜひ御賞味いただきたく。
無国籍そば屋蕎岳からのお知らせでした。

んじゃまた
亭主敬白

2011年11月29日火曜日

鴨な my house

始めました。
鴨。

鴨汁ざる
鴨南ばん

開店当初から鴨をメニューに、と思ってたんですが、オペレーションの煩雑さというか手順の多さから二の足を踏んでたのであります。
かくて開店以来2度目の冬到来。
やっぱりね。冬は鴨ですねえ。

んなわけであれこれの試行錯誤の上で先週月曜日から上記2品目をメニューに載せています。旨いです。好評です。鴨と葱はもうホントにベストコンビでありますね。なんてか、往年の吉永小百合と浜田光夫のように。いや、これはちと爽やかすぎて鴨ネギのこってり感とはそぐわないね。マリリン・モンローとトニー・カーチスの感じかなあ(『お熱いのがお好き』であります)。濃厚だなあ…

んでもって宴会シーズンを当て込んで鴨鍋も堂々の登場であります。自慢ぢゃあないけど、といいながらきっちり自慢するのですが、山科区内で鴨鍋食えるところはそうそうないよ。うん。
鴨鍋のシメはもちろん手打ちそば。鴨の旨味が溶けた出汁に浸けて食べていただきます。旨いす。要予約でお願いしております。

せっかくなので鴨鍋の一人鍋もつくりました。メニュー名は「ミニ鴨鍋」。一人で食べても身も心も暖まる。節電の冬を乗り切る体内温暖化メニューです。

んなわけでここんとこ、店主の脳内では江利チエミさんが歌っているのであります。
鴨なマイハウス マイハウス鴨~ アゴーナーギブヤーキャアンディ

おあとがよろしいようで

鴨汁ざる 1400円
鴨南ばん 1400円
鴨 鍋   3500円(前日までに予約)
ミニ鴨鍋  800円

んじゃまた
店主敬白

2011年10月5日水曜日

新そばの季節

衣替えと時を同じくして、10月1日より本年の新そばに切り替わりました。
まあ、玄ソバの保管状況が良ければとりたてて新そばがどうこうと騒ぐ必要はないのでありましょうが、そんでもやはり、季節の移ろいをそば屋的に感じさせてくれる最大のイベントが新そばの打ち始め。
当店、何とか一年サバイバルしたなあ、と感慨深く打たせていただきました。
おそらくは人類史に残るであろう2011年という年、その年の新そばです。
3.11以後を振り返り胸ふたがれる思いにつつまれつつも、自然の恵みはしみじみと旨いです。
ぜひご賞味いただきたく。

んじゃまた
亭主敬白

p.s
ゴーヤの天ぷら始めました。
そば屋でゴーヤ? 理由は以下の通り。
1,山科旧三条の沖縄料理「海月」さんで飲んだこと(うまかったス!)
2,午前10時の映画祭で西部劇見たこと(「ゴーヤの用心棒」「ゴーヤの7人」)
3,亭主が沖縄出身(※)であること

 ※ 大うそです



2011年9月28日水曜日

くんさば

鯖の燻製であります。

しみじみ旨い一品です。
これがまあ、なんと蕎岳の自家製なんでありますね。ワタクシが手ずから作っておるのであります。
使う塩とか、濃度とか、つけ込み時間や乾燥の時間、燻煙時間、熟成時間等、一切企業秘密なのですが、燻材(燻すチップ)だけは教えてもいいかな。今は桜を使っています。個人的にはクルミのほうが好みなのですけどもね。
ともあれ、現時点で鯖の燻製が食べられる蕎麦屋って、京都の中でもかなり珍しいだろうなあ、と思っておるのです。少なくとも、ウチのお客さんで過去に鯖の燻製食べたことある人は皆無のようで、皆一様に「これはうまい」とおっしゃってくださるのであります。へっへっへ。うれしい。

他にも鮭やらウインナーソーセージやらチキンやらもスモークしてて、燻製盛り合わせも好評であります。都会のそば屋で味わうアウトドア気分、とか言ったら大げさですが。

☆くんさば 380円
☆燻製盛り合わせ 500円

そうこうしてる内、秋田から京都に遊びに来たという小父さんとひょんなことから知り合いになってまって。(いや、たまたま同じ飲み屋で飲んだくれた、という縁なわけですが…)
その小父さんが秋田名物「いぶりがっこ」を送ってきてくれたのですね。「いぶりがっこ」。知っている人の中では知らぬ者はないというくらい有名な漬物ですが、おおかたの人にとっては超マイナーな食材で話にのみ聞くといった程度であります。
要は沢庵なんですが、燻煙香のする漬物。雪深い秋田では大根を天日干しできないので囲炉裏の上に吊して乾燥させ(このとき燻されるわけですね)、それを漬け込んで沢庵をつくるんだそうな。沢庵の燻製というか、燻製大根でつくる沢庵ですかね。これが香ばしくて甘くて、やみつきになるほど美味い。ご飯のお供と言うより、明白に酒のアテ。うまいす。秋田おそるべし。がんばろう東北。
そゆわけで「いぶりがっこ」好評です。最近はこれを目当てにウチに来て、いぶりがっこつまみながらゆるゆる飲まれるお客さんもおられるくらいで。
どうスか?いぶりがっこで蕎麦前(お酒のこと)飲んで、シメにお蕎麦を手繰るなんてえのは?

☆いぶりがっこ 300円

んじゃまた 燻製屋蕎岳でした。
亭主敬白



2011年9月7日水曜日

天ぷら As You Like

おかげさまで2年目突入です。
一週間にわたる1周年謝恩祭ではたくさんの方々に御来店頂き、祝福を頂戴いたしました。
思いがけず「お祝い」のお菓子まで頂いたりして、感謝しまくり。メタボを気にしつつ食べたお菓子ですが、美味かったっス。フィナンシェやらシュークリームやらって、けっこう、生ビールに合うのですねえ。ありがとうございます。美味しく頂きました。
初めてこられた方や久々の懐かしい顔にも会えて、それもうれしい一週間でした。
考えてみれば1年前、店を始める以前には何の縁もゆかりもなかった方々がこうして店においでになって、いろんなお話を聞かせてくださる。目の前で親しく笑顔を見せてくださる。舌鼓を打ってくださる。親父ギャグに笑い転げてくださる。感無量であります。なかなか蔵は建ちませんが、店やってよかった、とつくづく思うのであります。
とゆうわけで、当店を認知し期待してくれる方が存在してくださっているという認識を励みに2年目も頑張ろうと思う今日この頃であります。

さて天ぷらの新サービスを始めました。
「お好み天ぷら一貫揚げ」という適当な名前をつけてますけど、えと、要は、串カツと同じ方式とおもっていただければよろしいかと。
「なす」とか「海老」とか、バラで注文できるわけであります。
・「天ぷら盛合せ」や「天ざる」ではちと重たい、でも天ぷら食べたい(そばと天ぷらが絶妙の出会いもんであることにどちら様も御異論ございますまい?)
・酒のアテにちょっと天ぷらつまみたい
といったニーズにお応えいたします。小皿にお塩を添えてお出ししますので、二度付けでも三度付けでも勝手にしちゃってください。(血圧管理はご自身でお願いいたします)
当面のラインナップは以下の通り
カボチャ
なす
舞茸
大葉
海老
ちくわ
おくら
えのきだけ
気分によって、季節によって、メンバー交代や増員があるかと。
「あなたがつくる 世界にひとつだけの天盛り」ってえなコピー考えてみましたけど、どうスか?

皆さまの御来店、心よりお待ち申し上げております。

んじゃまた
 亭主敬白

2011年8月3日水曜日

価格改定

8/4(木)から、全面的にメニューの価格を改訂し、値下げに踏み切ります。
円高ドル安とは全然関係がありませんが、より親しみやすくなった蕎岳のお蕎麦、今後ともよろしくお引き立ていただきますようよろしくお願いいたします。

価格例   旧   新
二八ざる  800   780
十割ざる  1000  980
蓮如そば  900   880
天ざる   1500  1480
義士そば 1700  1680

英勲辛口  500   480
天山戸隠  500   480

御来店お待ち申し上げております。
亭主敬白

A la vickry

根がゲテモン好きなのかもしれませんが、外へ食べに出て、ちょっと変わった料理があると思わず食べてみたくなるのでありますね。奇抜なネーミング、面白い素材、珍しい調理法、等々、好奇心をくすぐるものに出会うとわくわくします。なんてかね、奇面人を驚かすとか、そおゆうのん、大好きなんですね。もう、上手に驚かせてほしい、ドキドキさせてほしい、楽しませてほしい。
あ、ゲテモンっても、信州のザザムシとかフィリピンのバロットとかみたいなグロテスクなんはダメです。そおゆうハードなんは全然ペケです。いわばヘタレ系のゲテモン好きですなあ。
んで、自分で店やってて、大事なコンセプトは「俺が喰いたいもん、美味いと思ったもんを出す」というところにあるので、ま、そうゆう料理も出したいな、と思っているのですね。「なにそれ!」「面白そうやン」って思っていただけるようなメニュー。ある種、作る方も食べる方もわくわくして、いわば心理的な共犯関係にある、みたいなけったいな料理。
以前から「魚肉ソーセージ」だの「鯖の味噌煮の缶詰」だのといったメニューを「山屋の酒のアテ」として出してて、それはそれで「学生時代を思い出す」と懐かしんで食べてくださる方も(結構な数で!)おられるんですが、料理としてはイマイチひねりが足りない。あ、すんません、そもそも料理してませんでしたね、ソーセージ切ったり缶詰開けたりするだけですし。

んで、頑張って作りました。ア・ラ・カルトならぬ アラ・ビックリ 変な一品 2種。
その1 トマチーナの天ぷら
イタリア風の天ぷらです。ウソです。ホントは3種のネタの盛り合わせ。トマト、チーズ、納豆を蕎麦粉を使った衣で揚げています。納豆苦手な方が関西には多いので、注文されたら必ず納豆の可否を確認させてもらっています。蕎麦粉の天ぷらは食感が独特。うまいす。

その2 カキフライっぽい天ぷら
種々の材料からモックオイスターを作り、それをフライ状の天ぷらに仕上げました。
本物のカキはオイスターソースすら使ってないのですが、いるのですよ、ホントに、カキが。

而してモックオイスターとは何か。
ま、これがミソなのでここでは種明かしをしませんが、食べた方も多くは正解まで33%の地点までしかたどり着けないのですねえ。
これ結構、ビックリするほどうまいす。冷めても美味しいし。モックオイスター、通年で収穫可能やし。

どちらもビールに良く合います。

「料理は科学である」といいますが、時として「料理はイチビリである」と規定したほうが世界が拡がるかなあ、と思ったりして。

んじゃまた
亭主敬白

2011年7月3日日曜日

夏限定 氷冷蕎麦

暑い日が続きます。
しかも節電の夏。
なんとかせねばなりません。
何とかしましょう!

そゆわけで作りました、氷冷(ひょうれい)蕎麦2種。

その1 氷冷とろろ 950円
氷の上に冷水で絞めた蕎麦、その上に粘度抜群の山芋とろろとわさび、刻み海苔。特製ぶっかけだしでいただきます。細打ちの麺にダシととろろが良く絡み、しかもチルド状態の蕎麦ですからこの冷たさと喉越しがたまらない!夏ならではの快感なのであります。

その2 氷冷おろし 900円
これも冷麺風※に氷の上にお蕎麦が鎮座いたします。トッピングは蓮如蕎麦と同じく大根おろし、青ネギ、花鰹、揚げた蕎麦の実。特製ぶっかけだしでどうぞ。

キンキンに冷えすぎた蕎麦は蕎麦の香りや甘みが引っこんでしまうと言われているのですが、それでもこの時期、氷温の蕎麦が口の中、喉、食道を通過していくのは何物にも代え難い美味さでありますよ。

氷が溶けるとダシが薄まってしまうのではないか、と御懸念の向きもおありだと思うのですが、冷たすぎてあんまりそれは気になりません。むしら、ほどよく薄まるといった感じでしょうか。まあ、好みの問題もあるのですけどね。
なんせ、この冷たさが身上の氷冷蕎麦です。
エアコン設定温度28度を乗り切る体内冷却蕎麦。
今だけのこの味をぜひ御体感下さい。

んじゃまた
亭主敬白
 ※冷麺というと韓国冷麺を思い浮かべる人が今はおおいのですかね? ここで言っている「冷麺」は冷やし中華の別名のことです。てか、関西では一般的に「冷麺」という言い方をしますよね。で、基本、氷の上に中華麺がのってる。関東で言う「冷やし中華」は冷たい麺に冷たいスープをかけるだけで氷は入ってなかったと記憶しています。デフォルトでマヨネーズが入ってるかどうかも西と東の違いを分ける指標だったりもしますよね。あ、んで、何が言いたいかというと、氷冷蕎麦のモデルは関西風の冷麺なので氷が器の底にしいてあるのです。



2011年6月27日月曜日

AKO47

山科は、赤穂藩家老だった大石内蔵助が赤穂城明け渡しの後に隠栖した地。内蔵助が住んだ西野山には今、内蔵助を祀る大石神社があります。
その縁で毎年12月14日の赤穂四十七士の吉良家討ち入りの日には「義士祭」が行われ義士行列が山科の目抜き通りを練り歩くのであります。
さて、これに因んだ蕎麦を作れぬものか、とかねてより思案しておりました。
赤穂の塩を付けて食べる塩蕎麦なんてどうだろう?
なんか心ときめかないねえ… 
赤穂名物の牡蠣をトッピングした牡蠣蕎麦は?
牡蠣は冬場だけだなあ、通年メニューにしたいしなあ
それに見た目はどうなんだろうねえ
華やかさがほしいねえ
んじゃあ、やっぱ天麩羅のバージョンで考えるか…

というわけで構想半年。
ついに完成!「蕎岳の義士蕎麦」!

上天ざるであります。
天麩羅のネタは
1.海老 豪華三尾!
2.オクラ
3.海苔
4.桜麩
5.大葉
これに二八のざるそば(かけそばも可)がついてその名も「義士蕎麦」。
どの辺が「義士」なのかという点でありますが、基本的なコンセプトは「皿上の忠臣蔵」なのでありますね。
つまり
・赤穂→あこう→あかお→赤尾→海老ってしっぽが赤いやン!
・大石内蔵助が名を揚げる→おおいしくらのすけ→オクラの天麩羅
・吉良上野介義央の領地の吉良→海苔が名産
海苔の天麩羅の上に海老天がわんさとのり、その上にオクラが鎮座する。このあたりはまさに吉良邸討ち入りの場の皿上での再現なのでありますね。
・忠臣蔵で桜といえば四段目判官切腹の場。桜麩は塩冶判官(浅野内匠頭)という見立てであります。
・で、まあ、なんだかんだ言っても徳川幕藩体制でのお話でありますからアオイの御紋ぽい大葉も添えている。
という御趣向なのです。
さらに言うと、この場合お蕎麦は二八がやはりふさわしい。九九では「四七=二八」っすから。

ええ。親父ギャグですが?なにか?

いやあ、なかなかに豪華な天ざるであります。
蓮如蕎麦とならんで山科の名物に育てたい、と不遜にも考えておる次第であります。

んじゃまた
亭主敬白

2011年1月19日水曜日

辛み大根おろしそば

大雪でぼろぼろの大晦日を生き延び、正月は5日から営業開始してたんですが、いやあ、あっちゅう間に早1月も下旬なんですねえ。光陰矢の如し。中年老い易く学成り難し、ブログの更新軽んずべからず。って結果的になかなか更新できていないのですが。

さて、かねてより辛み大根を扱いたいと考えておりました。
私が神と崇める方のお店にはそれはもう鮮烈に辛い「おろしそば」があって、これが実に辛いのですね。しかして辛さの奥にほのかな甘さがキチンと控えていて、でやっぱり劇的に辛くて、それはそれは美味しいのです。確実に中毒になる辛さなのです。あ、やばい。書いてるうちに唾湧いてきた。う~、辛み大根おろし蕎麦くいてえ~。
辛み大根のおろしそば、いつかは我が店でと思ってあれこれ調べていたのです。
京都で辛み大根といえば鷹峯大根が有名であります。でもね、栽培農家が少なく、必然的に流通量が少なくて、私には仕入れルートが見つけられなかったのですね。まあ、しゃあない、どうしても鷹峯大根でなければというかたは老舗のお蕎麦やさんに行っていただきましょう。
で、我が蕎麦神から紹介いただいた農家さんから待望の辛み大根、仕入れることに致しました。味はよくわかっているのですよ、何せよく行った店で結構な頻度で食べたメニューで使ってる辛み大根なんですし。辛いなあ、うまいなあ、やみつきになるなあ、と言いながら喰ったやつですわ。
産地は兵庫県たつの市。お醤油で有名な町ですね。ここの農家さんから直送していただきました。さすがにスーパーの青首大根に比べたらはるかに高価であります。
クール便で着いた段ボール箱を勇んで開けるとカブラみたいなずんぐり寸足らずの大根が紅白2種類で収まっておりました。早速試食。小さめなのを一個取り出し皮をむいておろし金でシャカシャカ、二八そばを一人前湯がいて洗い冷水できりっとしめてざるそばに仕立て、蕎麦の上におろした大根をのせる。蕎麦を大根と一緒につゆにつけズズっとすする。辛い!うまい!
蕎麦屋始めて、毎日手打ち蕎麦が喰えることの喜びを感じているのでありますが、この辛み大根おろしそばがその気になれば毎日喰えるのかと思うと、もうしみじみと我が身の幸せを噛みしめております。いや、自分で喰っとったら商売になりませんね、もちろんメニューに入れて提供するのです。

辛み大根おろしそば 900円
冷たいおそばに辛み大根おろしをのせて、特製ぶっかけつゆをかけて食べていただきます。舌触りが残り、またその臭いが辛み大根おろしの香気を損なうようなので、あえてネギはつけません。禅寺(例えば永平寺とか)をおもわせるようなシンプルかつ真っ直ぐ芯の通ったような味わいが身上かと。

で、うれしいことにこの辛み大根、通年で栽培しておられるそうな。うふうふ、真夏でも食べられるのでありますね。去年みたいな猛暑の中で、この辛さを味わったらそれはそれはうまかろうと思います。こんな食材扱えるなんて、もう誠に誠に幸せなのであります。うむうむ、蕎麦屋は楽しい。これで儲かってたら何にも言うことはないのでありますが。

んじゃまた
亭主敬白

2010年10月9日土曜日

皿の中のミクロコスモス

「見立て」とか「趣向」といった話です。
まあ、こういうのは好きな人は好きなのですね。知的な遊戯という側面が強い。世界史的にも希有な程平和な時代が長く続き、庶民文化が花開いた江戸期には殊の外好まれたらしい。
嫌いなお方はね、「こじつけ」とか「わざとらしい」とかでとことんお嫌いになるのですが、まあ人好きずきということで。

当店イチオシ「蓮如蕎麦」であります。山科新名物への道をまっしぐらに進むその途上にあるのです。前途遼遠ですが…。

京都東山に生まれ本願寺8世を継いだ蓮如上人は1471年越前国吉崎に吉崎御坊を建立、北陸布教の拠点とします。その後1483年には山科本願寺を完成させます。盛時は「寺中は広大無辺、荘厳ただ仏の国の如し」と言われた一大宗教都市を創り上げ、1499年に山科の地で入滅。
蓮如蕎麦はこうした上人の事績にちなんで作ったもの。

細打ちの麺はいかにもたおやかで京風を思わせるので、上人の出身である京都の象徴。
トッピングは上人の北陸布教の故事を踏まえ、また店主の越前蕎麦へのリスペクトを表して、越前そば風に大根おろし、青ネギ、花鰹。さらに揚げたそば米(蕎麦の実の殻をとり茹でたもの)を散らしています。

ネギは大地の恵み、青々とした福井平野の豊かな実りを象徴。
花鰹は逆巻く日本海の荒波。(鰹節は太平洋だろうが、というツッコミは無しでお願いします。)
真っ白な大根おろしは、北陸の雪。
かくて上人の生涯を彩る京都と越前が皿の上に現出せしめられる。
で、蕎麦の実は?
ちょっとね、仏様の螺髪(らほつ)に似ているのですね。従って蕎麦の実は仏様(真宗ですから阿弥陀様ですね)。
 では、かけつゆを何と見る。え~、かけつゆは~、と。黒いなあ。黒い。うん、整いました。つゆは墨染めの衣の象徴です。
京と越前の風物を阿弥陀様が穏やかに見守りそれら一切を墨染め衣の上人の生涯がひとつにまとめ上げる。
と、まあ、そうした御趣向です。

五木寛之さん、食べにきはらへんかなあ…
『風に吹かれて』は大好きな本のひとつだったのです。

んじゃまた
亭主敬白

2010年10月6日水曜日

ネギ

横浜で、薬味のネギはこう切る、と教わったときは深く感嘆したものであります。
使うネギは白ネギ(白くて太いやつ)、これをまな板の上ではなく、左手に持ち中空で、右手の包丁でそぐように輪切りにしていく。まな板の上で切るよりも繊維(だったか細胞だったか)がつぶれないから臭みがすくなくなる、との説明。理論的説明もそうですが、手元でささささっと薄切りネギが生まれてくるビジュアルはなかなかにかっこいい。職人、という感じがしたものであります。

さて、いざ京都で蕎麦屋を開こうと思うと、いうまでもなく京都/関西では九条ネギ(青ネギ )が一般的。御存知ない方のために付言すると、博多のほう(だったかな?)が特産の万能ネギよりも太く、関東で一般的な白ネギよりは細く、青味の部分が多いネギ。
これは白ネギと違って軟弱なので手に持ってさささっと輪切りにするのは不可能、というか私には無理。知り合いのお蕎麦やさんにきいてもやはりまな板の上で数本束ねて輪切りにするらしい。
で、あれこれ考えましたがやはり地元に馴染みのある食材を使う方が違和感なく受け入れてもらえるか、と思い白ネギではなく青ネギを採用し、毎日せっせと切っているのです。

さて、しかし、ネギに注意をむけて京都の老舗蕎麦屋さんへいってみると、別に青ネギにこだわっている、というか、青ネギでなければならない、ということは全然ないのですね。
京都の老舗蕎麦屋さんの中には東京で蕎麦の修行を積まれた方も結構おられるように伺っています。で、普通に白ネギのお店もあり、青ネギのお店もあり…。あ、なんだ、どっちゃでもええのか。要はポリシーと自信を持って選択すればよいのだ、と今は思っております。
考えてみれば焼き物の京焼き(清水焼き)も、全国各地の色んな技法が集まって総体としての京焼きを形成している。いや、専門家ではないので間違いがあったらご指摘頂きたいですが。ただ、素人目にも、これが京焼き、という特徴はよくわからないのです。素人目だからかも知れませんが。で何が言いたいかというと、都である京都は各地の色んな文化のるつぼであり、排除の論理ではなくそれらを鷹揚に受入れ吸収して洗練させて、独特の物にしあげているということなんだろうと思います。要は何でもありの多様性が根底にあるんだろうと。で、ええとこどりをしているのだろうと。
で、その「ええとこ」として選んでいただけるよう、精進せねば、という話なのでありましょう。

さて、当店のネギですが、「白ネギ使ったら?」とおっしゃるお客様もおられたのです。(東京ご出身の方だそうです)。その時は、「いやあ、京都は九条ネギですから」とお答えはしたのですが。
それからいろいろ調べてみると、刺激臭は白ネギの方が青ネギよりも強いのだそうな。だからこそまな板を使わない技法が確立されたのかもしれません。
個人的には白ネギがしっとり小皿にのってた方が、なにやら艶っぽい感じがしてちょっとドキドキするのですがねえ。
ただ、当店では越前風のおろし蕎麦を「蓮如蕎麦」という名前で売り出し中。山科の新しい名物にしようと画策しているのです。で、これにはやはり青ネギたっぷりでないと、大根おろしの白と色がかぶってビジュアル的に面白くない。
だったら、白ネギと青ネギ、両方切って使い分けたらええやんけ。と簡単にいけるほどの包丁の腕はまだないのです。で、ウチのネギは当面九条ネギ。ご了承賜りますように。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月29日水曜日

温かいそば 始めました

先週の金曜日、朝目覚めると肌寒かったのでした。あれほどの猛暑が一体どこへ行ったやら。それはともかく、突然の秋。
当店のスタメンは二八、生粉打ち、てんぷらせいろ、蓮如蕎麦(越前風おろしそば)と、基本的に冷たい麺ばかり。いや、別に「そばはざるに限る、温かいそばなんか邪道だ!」という原理主義的な観点からではなく、単純に温かいそば用のダシ(以下「かけ汁」と言います。)に自信が持てなかったから。
亭主はたまたまのご縁があって(ネットでの検索も「ご縁」には違いない)、横浜で蕎麦修行をさせてもらったのですが、ざるそば用のつゆ(以下「ざる汁」と言います。)はともかく、かけ汁はやはり東西で大きく違います。しょうゆの淡口、濃口の違いだけにとどまらず、ダシのとりかた・材料も違う。
あえて習い覚えた江戸風で勝負するのもひとつの方法ではありますが、亭主自身が食べて「美味しい」「ホッとする」「納得できる」という味では残念ながらなかった。どうしてもしょうゆが強くて。これはもう東西の食文化の違いなのでいかんともしがたい。ともあれ自分で「なんだかなあ、これでは京都人にはそっぽむかれるなあ」と思う味で勝負をかける勇気はさすがにないのであります。
で、納得できるかけ汁ができるまで温かいそばは封印をしていたのでした。9月中に研究して10月くらいから出そうかな、と。長期予報では10月、11月も暑いらしいし。そんなに急くこともないかいな、と。

と思ってたら突然の秋。涼しいのを通り越して寒いくらい。
あ、こら、予定前倒しで温かいのんを始めねば。と、ベンチ入りしてた天麩羅そば、にしんそば、かけそばの3選手に急遽出場してもらいました。
かねて研究中だったウルメ、メジカ、サバをつかった秘伝のダシに淡口醤油、砂糖、みりんを合わせたかけ汁。
気候の変化に慌てて対応してメニューに追加したので調理手順はまだもたつくのですが、味はなんとか及第点ではないか。客観的な評価としては、温そばを頼んだお客さんの丼、いずれも汁がほとんど残っていないのでご満足いただいているのだろうと思います。

白状いたしますが私、かつては「原理主義」の信奉者だったのであります。
そばを本当に味わうなら冷たいざるに限る。それ以外、天ざるも温そばも邪道だ、くらいにマジで考えてました。
しかしながら、そばと天麩羅はまさに「であいもん」というかベストマッチって感じですし、そばは温めると甘みが活性化するんでしょうね、もう、実に美味い。
たしかにいい粉を使って打った蕎麦はまず第一に冷たいざるで食べたい、食べて欲しい、とは思いますが、そういう美味しいそばは温そばにするとこれがまた絶品なのです。冷たいざるそばだけに固執していたらそばの真価はわからんなあ、というのが今の率直な思いです。
生物(せいぶつ)だけでなく、そばの味わい方も多様性が大切ではないか、と温かい天麩羅そばを食べながらしみじみ思うのであります。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月24日金曜日

京都最速?

新そばのお話。

薄いエメラルドグリーン。
甘い香り。
これを小麦粉と混ぜたり湯ごねにするのは何とももったいない気がして、水でうった十割蕎麦にして提供しています。

旬のはしり、という観念的なハロー効果を抜きにしてもやはりおいしいのです。甘いなあ。

ソバ粉は北海道雨竜町産の極早生。キタワセという品種です。不作が伝えられる今年の作柄の中でよくぞ、という思いです。

先日の定休日、河原町のあたりをうろうろしてお蕎麦やさんのハシゴをしたのですが、さすがに「新そば」という掲示はなかったので、もしかするとウチが京都最速の新そばかも。まあ、早ければいい、というわけではないのですが、初鰹を愛でる情調と共通してちょっとうれしいものがあるのです。

新そば生粉打ちせいろ 1000円。一日限定10枚。京都最速、かもしれない新蕎麦を味わえるチャンスです。なんちて。

んじゃまた
亭主敬白

2010年9月20日月曜日

新蕎麦!

明日入荷します。
商売始めて最初の新蕎麦。ちょとうれしい。

玄ソバの管理をしっかりしていれば新蕎麦をありがたがる必要はない、という意見のあることは承知していますがやはり季節を感じさせる旬のもの。自然の恵みを扱う商売としては季節の移ろいを体感できる「新蕎麦」は大切な区切りというかひとつのイベントとして大切に味わいたいと思うのです。

入荷の時間によって新そば粉を使ったそば切りを提供できる時間帯が決まります。朝の蕎麦打ち終了後の入荷だと新蕎麦のそば切り登場は夜の営業から。入荷が早い時間帯なら頑張って昼の営業に間に合うように打ちたいな、と。

猛暑、猛暑と言ってましたが、いつの間にか、着実に、季節は移り変わっていくのでありますねえ。

そうそう、昨年国内産ソバは大不作だったらしいですが、どうやら今年もあんまり出来は良くないとの話です。玄ソバ(粉にする前の殻つきのソバ)やそば粉もまた高くなるのかなあ。かといって蕎麦の販売価格に上乗せも難しいでしょうし。これも温暖化の影響だろうと思うと温室効果ガスの削減課題が急に身近なものに感じられる秋の宵であります。

う~む、三連休最終日の夜はブログ更新できてまう程に閑だったなあ。やばいなあ。
ウチのお客さんは現時点では「少数精鋭」(^_^;) なのであります。
ただ、嬉しいことに「おいしかったわ~。こんな奥まった場所でもったいない、四条で店出したらどうや」と言って下さる方や、天麩羅を絶賛してくれるお客さん、東京から単身赴任で来られて「やっと京都でおいしいそば食べられた」と言って下さる方等々あって、(まあ、お世辞半分と受け止めるべきなんでしょうけど…) 、好意的に受け止めていただいているという感触は得ているのです。

さて明日は忙しくなりますように。

んじゃまた
亭主敬白

2010年8月26日木曜日

蓮如蕎麦

山科は中世、蓮如上人が山科本願寺を造り一大都市国家を営んだ地。
その蓮如上人のお墓は当店から歩いて10分ほどの所にあります。これほどの歴史的人物がかつてこの山科に居たという事実がありながら、蓮如上人の名を冠した商品が存在しないのを以前から不思議に思っていました。
 観光旅行というのはある意味、予定調和を求めることが目的の部分があると思っています。どこそこに行ったら土地の名勝を見、名物に舌鼓を打つ、というのはセットだろうと思うのです。
 蓮如上人の御廟所に詣でる。東西本願寺の山科別院にお参りする。蓮如蕎麦を食べる。(蓮如餅とか、蓮如うどんでもいいわけですが)知的好奇心や信仰心を充足させたらそれとセットで食欲も満たされそれで初めて完結する、と思うのです。
しかし…ないのですね、山科には蓮如さん関係の食べ物は。

んじゃ、作ろう、と思って蕎岳オリジナルニュー、蓮如蕎麦。作ってもた。
蓮如上人は北陸地方にも大きな足跡を残しています。それに因んで越前蕎麦風のおろし蕎麦に香ばしく揚がった蕎麦の実をトッピング。大根の辛さ、カツオの味わい、ネギのさわやかさと出汁がからまり蕎麦の実の香ばしさと食感がまた絶妙。(大根は甘いおろしに変更も可能)
名物にうまい物なし、とはよく言いますが、これはうまい。と自画自賛。ま、まだ名物と認識されてませんが。
以前の越前おろし蕎麦研究フィールドワークがこんな形で実を結んだわけです。

今日は実家が西本願寺さんの御宗旨だった関係で西の別院さんのお坊さんに店に来てもらってお経を上げていただきました。その際メニューをお見せしたら特に怒られることもなく、むしろ興味を持っていただいたご様子。折を見て東の別院さんにもご挨拶はしておかねばと思っているのです。

 んじゃまた
亭主敬白

酒の山、器の洪水

開店を一週間後に控え、今度の土日にお披露目とオーダーからサービスへの練習をかねてプレオープンで近隣やお世話になった方や工事業者の方をお招きするのです。
いよいよカウントダウン、という感じです。

手打ち蕎麦屋兼居酒屋、かっこよく言うと蕎麦ダイニングとか言うのかも知れませんが、ある種、ヌエ的な店をしようと思うと一定程度酒類のバリエーションが求められる、と思って酒屋さんやメーカーさんと相談してあれこれ仕入れたのです。
いざ酒類が入荷し、ビールサーバーも設置されてみると…、ああ、場所ふさぎやなあ…
生ビール、瓶ビール、フリー、日本酒4種類、焼酎5種類、チューハイ3種類、ウイスキー、果実酒4種類、ワインも赤白おまっせ~。
もう酒だけで厨房内あふれかえる感じ。
そしてそれにともなってジョッキ、タンブラー等の器が酒屋さん、メーカーさんからの御寄贈もあってどんと入ってくる。
こいつ等を一体何処に収納するか、またパントリースペースをどう確保するか。この期に及んで大きな課題が持ち上がる。ホームセンターへ走って急遽作業台をこしらえ、当面使わない食器をデッドスペースに移動し、すったもんだの大騒ぎ。で、まだ全部収まりきってはいないのです。

酒類を扱うにあたっては、どれだけのスペースが必要か、収納や作業空間をどうするか等をよく考えて思い切って割り切る必要があった、と今になってちょっと後悔しています。料理メニューはずいぶん刈り込んでシンプルにしたのですが、ドリンクメニューは分不相応に多い。

酒が異様に充実している「そば切り 酒肴 蕎岳」のグランドオープンは9月2日。飲みたい方はお楽しみに。

んじゃまた
亭主敬白

2010年6月14日月曜日

メニュー基準表

どんな名前の料理を、
いくらで提供するか、
材料はどんなものを使うのか、
その量はどれだけか、
その原価はいくらなのか、
原価率はどの程度か、
標準的な料理手順はどうか、
どんな器を使うのか、
盛りつけのイメージはどんな感じか
といった情報を「メニュー基準表」にやっとまとめたのですが、なかなか大変な作業でした。

まず、メニューそのものがなかなか決められない。
あれもしたい、これも出したい、こんなのも面白かろう等々で原案をつくり、技術的な問題、原価の問題、環境上の理由、ロスを抑えるための手だてなどを勘案して削ったり付け加えたり…。一応これで行くか、と決めても店全体のコンセプトに照らして不都合な面が見えてきたり、コンセプト自体を考え直してまたイチから考えだしたり…。
そんなこんなで当初5月中にはメニューが決まりメニュー基準表もできているはずだったのですが、なかなかそうは行きませず…。なんか普天間みたいですが…

で、なんとかメニューがまとまり、それに基づいて一個一個の料理について細かく分析。
で、この作業も考えてる内に試行錯誤(思考錯誤)の連続になってまって。
あの材料はどう切ろう? どんな材料で飾り付けよう? この材料よりもあの材料にしたらどうだろう?
いやあ、いろいろ考えることがでてくるもんであります。
どうしても煮詰まったらとりあえず実践あるのみ、ということで作っては喰い作っては喰い…、というわけでさらに時間も喰い…。
基本をどこかの店で学びその暖簾を受け継ぐというかたちの開業ではないため、すべてが自由。選択し放題。
それはそれで楽しいのですが、あっちへふらふらこっちへふらふら、みたいな感がなきにしもあらず。

そんでもなんとか一応の完成。
 これでやっと次の段階、器の選択と原材料の仕入れ先の検討にかかれる。
これもまあ、無限のオプションの中から現実を規定する諸条件を見定めて妥協しつつできうる限り理想に近づけるべく努力する作業なわけですね。
とりあえずは器の選択ですが…。
漠っとしたイメージはあって器を選ぶことによってそれを具体的に形にしていくわけですが、もちろん予算の制約はつきまとう。おのずと選択肢は限られる。となると「ちょっとイメージにあわんなあ…」とカタログのページを繰ることの繰り返し。これもなかなか時間のかかる作業です。楽しみながら選びたいと思います。

しかし、当たり前の事ながら、いい器は高いもんですねえ。

んじゃまた
亭主敬白


2010年5月27日木曜日

高野山 精進料理 胡麻豆腐

以前から一遍行っておきたかった所なのですが、いつか行けるかなあ、などと思っているといつまでたっても行けないもんですね。やはり思い切らないと実現はしないものであります。
このまま首尾良く秋に開店できたらその後はそれこそ実現困難であろうと思い、ちょっくら行って参りました、高野山金剛峯寺。
京都山科からは車で片道3時間。ナビに従って行ったら橋本からの国道371号線は離合の困難な山道でエラい目に遭いましたが。
真言宗の総本山へのお参りというよりも精進料理の体験が主たる目的ですから罰当たりなことでありますが、主要な伽藍にはお参りをし、奥の院では弘法大師に商売繁盛をお祈りしましたので大師様も苦笑しながらまあ良しとして下さるであろうと思っています。

さて、精進料理。
植物性タンパクで動物性タンパクを模した擬(もど)き料理がメインなのかと誤解していたのですが、それは黄檗山万福寺の普茶料理の系統であるらしいのですね。
高野山は精進出汁を基本にして素材の味をそのまま味わうたぐいの日本流精進料理であるのだそうです。(このあたりの知識は高野町内の書店で急遽購った精進料理の紹介本に基づきます。)
炊き合わせ、野菜の天ぷら、胡麻豆腐といったオーソドックスな精進料理の面々ですが、…しみじみとやさしく美味しいのです。こんな味わいの料理を作りたい。と不遜な願いを抱いた次第。

で、胡麻豆腐なんですが、ネットと『るるぶ』で高野山に関する事前アセスメントをした際に「濱田屋」さんという胡麻豆腐専門店の情報をキャッチ。話のタネに行っておくか、と軽い気持ちで広からぬ町内をうろうろと訪ね回り何とか見つけて訪問。
店内で食べられるとのことなのですが、店員さんからここに選択肢が提示される。
「普通のわさび醤油か、デザート風に和三盆糖をかけたのか、どちらにされますか?」
しばし考えましたがね、これはやっぱり両方喰っておくべきだろう。
胡麻豆腐、もとより嫌いではありません。今まで何度も食べたことがある。
と思っていましたが、おそらく今まで本当の胡麻豆腐を食べてはいなかったのでしょうね。実に想像を超えた、軽やかな旨さをこの「濱田屋」の胡麻豆腐で体験したのでした。
あああ、胡麻豆腐ってこんなに美味かったんだ…。
わさび醤油はもちろんですが、圧巻は和三盆かけ。高野山中だからというわけではないですが、思わず<法悦>といった単語が脳裏をよぎったのでした。これがねえ、全然誇張とか言葉の綾ではないのです。和三盆がうまいのは言うまでもないですが、おいしい胡麻豆腐と出会うとさらに新たな世界が拡がる。これは味覚の両界曼荼羅や!(笑)  てなもんですわ。

これは使えるかもしれない、という思いも持ったのですね。ここの胡麻豆腐仕入れて提供するだけでも絶対値打ちあるだろうなあ。しかし、それでは工夫がないですね。原価が高い分、価格設定も高めにならざるを得ないし。
蕎麦豆腐でやったらどうだろう?こんな軽やかでコクのある旨さを持った蕎麦豆腐を作ることができたとして、それに和三盆かけたら…。
さて、どうだろう。ちょっと想像がつかないので、週末にでも製作・試食してみようと思います。うまくいきますれば…。乞うご期待。

んじゃまた
亭主敬白



2010年5月19日水曜日

越前蕎麦研究の旅

メニューの中におろし蕎麦は欠かせないと考えているのですが、どういう形態のおろし蕎麦にするのかは結構迷うところです。
使用する大根は基本はやはり辛み大根、無い季節はしゃあなし青首大根、ということになろうかと思いますが、さて、どのように提供するか。
1,もりそば・せいろそば・ざるそばの上に大根おろしをのせるか、
2,通常のもり蕎麦につける薬味のうち、大根おろしだけを大量につけるのか、
3,深めの皿ないし鉢に蕎麦を盛り、大根おろしをのせて、ぶっかけとするのか、
大きくは以上3種類に分けられると思うのです。オペレーションの観点からみれば通常のせいろ蕎麦にわずかなバリエーションをつけるだけの方が(つまり1,2のパターン)楽には違いなかろうと思いますが、冷たいぶっかけ蕎麦というのはとりわけ夏には捨てがたい魅力を発揮するだろうとも思うのですね。
と、考えたときに京都でも身近なぶっかけおろし蕎麦である越前蕎麦を思い出したのです。

あ~、そ~いえば越前蕎麦ってどんな感じやったっけ。何遍も食べてはいるはずだけど、イマイチ明確なイメージを持ちきれない。
つゆはどのように提供されるのだろう?
最初からぶっかけて?
汁徳利で?
大根おろしはどうするの?
おろしたままで?水は切るの?
そばつゆと混ぜるところもあったような。(勝山市で食べたのはこの形式)
そもそも小鉢でのぶっかけ蕎麦だけど、蕎麦湯はどんな風に提供されるのだろう?

あれこれ疑問が浮かんで、これは改めて越前蕎麦を研究する必要があるなあと考えていたのでした。
本日雨でしたが車飛ばしてフィールドワーク。つまり蕎麦のはしごです。目指すは久々の今庄(いまじょう)。いつの間にか南越前町という面白みのない名前の町になっておりましたが。
節約のため高速は使わず山科からR161バイパスで湖西路を北上、マキノ町から国境(くにざかい)越えて敦賀、木ノ芽峠を越えて北国街道の宿場町今庄へ。
越前蕎麦を今庄で代表させることには異論があるかもしれませんが、とにかく今庄は蕎麦どころ、そして京都から一番近い越前蕎麦の本場なのです。

今庄駅前の「そば師 忠兵衛」はあいにく定休。しからばと同じく駅近くの「ふる里」へ。店内は各地の土産提灯を飾った民芸調。4畳程の小上がりと磨き古木を使った椅子テーブル席が6客。
迷わず「おろしそば」。600円。
φ14cmくらいの小鉢に比較的白い蕎麦(挽きぐるみではないのですね、ここは。)、その上に刻み葱と大根おろし、そして花かつお。麺量は少なめ。小鉢にはすでにつゆが張ってある。つゆは普通のざる汁よりも薄い感じだけど鰹の風味が効いていてほのかに甘い。きりっと引き締まり角の立った蕎麦をかき混ぜておろし、葱、かつお、つゆをほどよくまとわせておもむろに口に運ぶ。辛い。美味い。
あ、絶品。

車で移動。
農協の前の「ほっと今庄 今庄そば おばちゃんの店」へ。おばちゃんがやってる「おばちゃんの店」という名前のおそばやさんなのです。テーブル・カウンター合わせて30席程の店内では、蕎麦をはじめとした土産物も商ってはる。
迷わず「おろしそば」550円。
同じく小鉢に、今度はちょっと黒目の挽きぐるみの蕎麦。刻み葱と大根おろしと花鰹。事前投入されたつゆ。
基本パターンはこれであります。
ただ、ちょっと蕎麦がなんだか頼りない。「ふる里」さんの後だからよけいそう感じるのでしょうが、なんかもっさりした感じ。あ、そうか、氷水で締めてないんだわ。
それと大根おろしが全然辛くない。皮むきおろしか、あるいはおろしてからの時間が短かすぎたか。辛くない大根おろしは舌触りの邪魔になるだけの存在でしかないなあ、と極論的感想を抱いてしまいました。とはいえ、まあまあ普通においしいおろし蕎麦。いかにも近所のおばちゃんがやってる感じのアットホームな接客は嫌いじゃない。メニューも充実。ネットでの情報発信も熱心。

せっかくだからともう一軒。「土の駅 今庄」。
靴を脱いで畳の部屋へ。8畳と四畳半の二間の客室。
ガラスの向こうでおばちゃんが蕎麦を切っている最中でした。
ここも迷わず「おろしそば」525円。
基本パターン通りの蕎麦におからの炊いたんがつき、なおかつ本日はコーヒーデーとかでレギュラーコーヒー勝手に飲み放題なんだそうな。(デミタスカップですが)
ここはつくし会だったかな、そんな名前の営農グループのおばちゃんたちがやってるお店のようす。接客もなんや鈍くさいなあ、せやけど憎めんなあ、というもっちゃりした、土着のお店の感じでなかなかよろしい。(マネはできませんが)

共通して蕎麦湯は蕎麦とほぼ同時に湯呑みで出される。汁は蕎麦の鉢に入っている分だけしか提供されないから、蕎麦湯の白湯を飲むのかなあ?亭主は鉢に残った汁を蕎麦湯に入れて飲んでもみましたが。越前流蕎麦湯の作法は要確認。

店の人に効いてみましたが、大根おろしは特に水切りはしないみたい。かといってそうびちょびちょでもなかったのだから、絞ることまではしない、ということなのかなあ。

思うに越前蕎麦は、「蕎麦打ちできないと嫁にいけない」という風土のなかでお母さんたちが作り続けてきた土着の食べ物なんでしょうね。そういえば3軒とも打ち手は女性でした。武生とか福井とかもっと都会の方へ行くと蕎麦職人による手打ちが主流になるのでしょうが、今庄はまだプリミティブな形態を保持しているということでしょうか。(たまたま目にした事例からのみの解釈ですからあまり根拠はありません)
地粉を石臼で挽いて手打ちする。つなぎをあまり使わずに打った蕎麦を土地の野菜でもって食べる。スローフードというやつですよねえ。

ともあれ、腹もふくれましたが、越前蕎麦について割と明確なイメージを持つことができたと思います。辛い大根おろしと蕎麦、そして葱、鰹節。シンプルではありますがこれはこれで最強の「出会いもん」だなあ。
開幕先発メンバーに入れるかどうかは別として、越前風のおろしそば、かなり捨てがたいと思っているのです。

んじゃまた
亭主敬白