2010年5月27日木曜日

高野山 精進料理 胡麻豆腐

以前から一遍行っておきたかった所なのですが、いつか行けるかなあ、などと思っているといつまでたっても行けないもんですね。やはり思い切らないと実現はしないものであります。
このまま首尾良く秋に開店できたらその後はそれこそ実現困難であろうと思い、ちょっくら行って参りました、高野山金剛峯寺。
京都山科からは車で片道3時間。ナビに従って行ったら橋本からの国道371号線は離合の困難な山道でエラい目に遭いましたが。
真言宗の総本山へのお参りというよりも精進料理の体験が主たる目的ですから罰当たりなことでありますが、主要な伽藍にはお参りをし、奥の院では弘法大師に商売繁盛をお祈りしましたので大師様も苦笑しながらまあ良しとして下さるであろうと思っています。

さて、精進料理。
植物性タンパクで動物性タンパクを模した擬(もど)き料理がメインなのかと誤解していたのですが、それは黄檗山万福寺の普茶料理の系統であるらしいのですね。
高野山は精進出汁を基本にして素材の味をそのまま味わうたぐいの日本流精進料理であるのだそうです。(このあたりの知識は高野町内の書店で急遽購った精進料理の紹介本に基づきます。)
炊き合わせ、野菜の天ぷら、胡麻豆腐といったオーソドックスな精進料理の面々ですが、…しみじみとやさしく美味しいのです。こんな味わいの料理を作りたい。と不遜な願いを抱いた次第。

で、胡麻豆腐なんですが、ネットと『るるぶ』で高野山に関する事前アセスメントをした際に「濱田屋」さんという胡麻豆腐専門店の情報をキャッチ。話のタネに行っておくか、と軽い気持ちで広からぬ町内をうろうろと訪ね回り何とか見つけて訪問。
店内で食べられるとのことなのですが、店員さんからここに選択肢が提示される。
「普通のわさび醤油か、デザート風に和三盆糖をかけたのか、どちらにされますか?」
しばし考えましたがね、これはやっぱり両方喰っておくべきだろう。
胡麻豆腐、もとより嫌いではありません。今まで何度も食べたことがある。
と思っていましたが、おそらく今まで本当の胡麻豆腐を食べてはいなかったのでしょうね。実に想像を超えた、軽やかな旨さをこの「濱田屋」の胡麻豆腐で体験したのでした。
あああ、胡麻豆腐ってこんなに美味かったんだ…。
わさび醤油はもちろんですが、圧巻は和三盆かけ。高野山中だからというわけではないですが、思わず<法悦>といった単語が脳裏をよぎったのでした。これがねえ、全然誇張とか言葉の綾ではないのです。和三盆がうまいのは言うまでもないですが、おいしい胡麻豆腐と出会うとさらに新たな世界が拡がる。これは味覚の両界曼荼羅や!(笑)  てなもんですわ。

これは使えるかもしれない、という思いも持ったのですね。ここの胡麻豆腐仕入れて提供するだけでも絶対値打ちあるだろうなあ。しかし、それでは工夫がないですね。原価が高い分、価格設定も高めにならざるを得ないし。
蕎麦豆腐でやったらどうだろう?こんな軽やかでコクのある旨さを持った蕎麦豆腐を作ることができたとして、それに和三盆かけたら…。
さて、どうだろう。ちょっと想像がつかないので、週末にでも製作・試食してみようと思います。うまくいきますれば…。乞うご期待。

んじゃまた
亭主敬白